「コンピュータが小説を書く日」佐藤理史著

公開日: 更新日:

 囲碁プロ棋士との対局や東大受験などで昨今注目を集めている人工知能(AI)。昨年3月に開かれた「星新一賞への応募報告会」では、コンピューターを利用して作成されたショートショートが1次選考を通過したことが報告された。AI小説家とマスコミが色めき立つなか、当の研究者はその期待と誤解に戸惑う。本書は、コンピューターによる文章生成を研究していたグループが、星新一賞への応募を目指して試行錯誤した経緯と、現時点での成果を明かしたリポートだ。

 今回の応募作は「世界構築(時間と空間と人物とイベントの設定)」「テキストプラン(どの要素をどの順番で登場させるか)」「テキスト生成(どう語るか)」の組み合わせで小説ができるという構想の下で作られた人間とコンピューターの合作であるため、AI作家の誕生とは言い難い状況だと著者はいう。

 だが、パターンが存在する新聞記事やメール、天気概況等なら自動生成が容易だと指摘している点は興味深い。(日本経済新聞出版社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

  3. 3
    無垢で可愛かったのに…元有名子役・若山耀人逮捕の衝撃! NHK大河「軍師官兵衛」にも出演

    無垢で可愛かったのに…元有名子役・若山耀人逮捕の衝撃! NHK大河「軍師官兵衛」にも出演

  4. 4
    岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12.6億円!円安放置し“血税ごっつぁん”外遊三昧のア然【リスト付き】

    岸田首相含め政務三役31人、渡航費用12.6億円!円安放置し“血税ごっつぁん”外遊三昧のア然【リスト付き】

  5. 5
    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

    大谷はアスリートだった両親の元、「ずいぶんしっかりした顔つき」で産まれてきた

  1. 6
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  2. 7
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  3. 8
    仲野太賀に注目!NHK朝ドラ「虎に翼」で寅子と結婚…そして、もうすぐ“優三ロス”が起こる

    仲野太賀に注目!NHK朝ドラ「虎に翼」で寅子と結婚…そして、もうすぐ“優三ロス”が起こる

  4. 9
    若林志穂さん「Nさん、早く捕まってください」と悲痛な叫び…直前に配信された対談動画に反応

    若林志穂さん「Nさん、早く捕まってください」と悲痛な叫び…直前に配信された対談動画に反応

  5. 10
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前