「羽毛恐竜完全ガイド」BIRDER編集部編
「羽毛恐竜完全ガイド」BIRDER編集部編
恐竜の研究は日進月歩。かつての図鑑にはウロコに覆われた恐竜しか載っていなかったが、1990年代後半から羽毛の痕跡がある恐竜の化石が多数発見され、化石にメラノソームという細胞小器官の痕跡が見つかったことで、一部の恐竜では羽毛の色まで復元できるようになったという。
約6000万年前の大量絶滅事変で大打撃を被った恐竜だが、多種多様な恐竜類の中で唯一、現代まで生き残り繁栄を続けているのが鳥類だ。
本書は、鳥と恐竜の進化について解説しながら、知られざる羽毛恐竜の世界を案内してくれるビジュアルテキスト。
恐竜の羽毛の起源はウロコが変化したもので、毛のような繊維状の構造に始まり、羽軸から枝分かれして葉っぱ状の形態へと変化していった。
その役割は保温から、ひげのような感覚器官、求愛のためのディスプレー、身を隠すためのカムフラージュなどが考えられるという。
初めて見つかった羽毛恐竜は、白亜紀前期に生息していたシノサウロプテリクスで、全身にフィラメント状の羽毛が生えていた。羽毛は全体的にオレンジ色で長い尾は白との縞模様だったことが分かっている。
あのティラノサウルスの化石には今のところ羽毛の痕跡は見つかっていないが、幼体は羽毛に覆われていたようだ。
ほかにも、現在の鳥の羽のように、羽軸と羽弁からなる正羽状の羽が初めて確認されたカウディプテリクス、これまで発見された中で最古の飛翔性恐竜の一種アンキオルニスなど、緻密なイラストで羽毛恐竜たちを紹介。
その生態や、大量絶滅事変で恐竜が絶滅して鳥が生き延びた理由など、最新の研究をもとに解説してくれる。夏休みの自由研究の参考書におすすめ。
(文一総合出版 2750円)