木村大作監督が映画「春を背負って」に込めた骨太メッセージ
毒舌カメラマンが声を詰まらせ…
「最近はいい映画を作っても儲かりゃしない。でも、東宝とフジテレビがカネを出してくれるというから撮った」
これは毒舌でお馴染みの名カメラマン、木村大作(74)の言葉。自身2作目となる長編映画監督作品「春を背負って」の試写会で吐いたセリフだ。歯に衣着せぬ物言いが受け、12日には「アウト×デラックス」(フジテレビ系)にも出演しているが、14日の初日舞台挨拶では「これまで47都道府県の試写会を自家用車で回ってまいりましたが、試写会はあくまで試写会。きょうは、僕にとっては……」と声を詰まらせる場面も。黒沢明を師と仰ぎ、数々の名作を撮ってきた木村。この作品に対する思い入れの深さもハンパではないようだ。
興行収入26億円を記録した前作「剱岳 点の記」(09年)は、山の過酷さを描いたものだったが、今回のテーマは対照的だ。
「前作が山の過酷さを見せた作品だったので、同じ路線かと思いきや、今回は登山の面白さを描いている。今年は『K2 初登頂の真実』など特に山岳映画が多いんですが、どれも山のすごさや恐ろしさを見せるものばかり。この作品のように『山っていいな』『登ってみよう』と思える映画は少ない。蒼井優のいつも通りの大味な演技はともかく、小林薫、松山ケンイチ、豊川悦司といった男性陣の演技がしっかりしていて、“たばこと同じ。煙になってからその真価が分かる”など、男が共感したりカッコイイなあとうなってしまうような名言が随所にちりばめられている。