巨乳を否定され続けて…スイカップ古瀬絵理さん“涙の一枚”

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 NHK山形放送局に所属していた10年以上前、「童顔に巨乳」という奇跡のアンバランスに男どもは興奮し、妄想した。出身地の名産品にちなんだ「スイカップ」は、今なお古瀬絵理さん(37)の代名詞である。秘蔵の写真には、日本中が知る前の初々しい姿と、NHKを卒業したときの泣き顔が収められていた。

「どんな占い師さんに見てもらっても必ず、『波瀾万丈の人生を歩むでしょう』って言われるんです。結婚して子供も生まれ、今は安定していると思うのですが……」

 なるほど、占い師の見立ては正しいのかもしれない。大学卒業後は出版社に入ってライターをやりたかった。アナウンサーなど目指していない。ただし、時代は就職氷河期。エントリーシートではじかれ続けた。4年の秋を迎えても内定はゼロ。秘蔵の1枚目は、そんな苦い思い出が残る就活用の写真である。

「校長をしていた母の影響もあり、大学では教職課程の単位を取り、教員免許も取得しました。ただ、教師になるつもりはなかったし、採用試験も受けていません。いざとなれば編集プロダクションのバイトから始めようって覚悟だったんです。そんなときに母が、地元のNHK山形でキャスターを募集していると連絡してきたんです」

 山形に帰る気はさらさらなかったが、「取材する仕事は紙もテレビも同じ」と割り切り、ダメもとで応募した。

■体の一部なのに「隠せ」の大合唱

「受かるなんて思っていませんでしたね。同期4人のうち2人は、数多くの放送局を受けていたアナウンサー志望で、あとの1人はミス花笠です。私だけ明らかに異質。それでも採用されたのは、イの一番に聞きにくいことを聞いたから。採用担当の方が、あまりにも『給料は安いよ』と繰り返すので、カメラテストの後に手を挙げて、『いったい、どれだけ安いのですか』と質問したのです。そのときは、『去年入った先輩は今年、ユニクロのフリースを1枚しか買えなかったよ』とけむに巻かれたのですが、ズバズバと突っ込む性格が評価されたそうです。入ってみたら、給料は月に20万円以上。決して安くはなかったです」

 2000年4月、NHK山形放送局に入局。仕事は猛烈に忙しかった。番組で使うネタを取材し、打ち合わせをして台本を書き、本番でニュースを読んで、数分の企画モノの取材に出て……という毎日。家で寝る以外は休まず働いた。

 そんな生活が続いた3年目の春、放送部長から記事を見せられる。少し前からネットで騒がれているとは聞いていたが、思いもよらぬ「スイカップ」という愛称。「公開セクハラではないか」と憤慨した。

「巨乳は、小学生のころから自覚していましたが、母親もそうですし、自分が特別だなんて思ってもいませんでした。それなのに騒動になってからは、ずっと、巨乳を否定され続けて……。周囲の人たちはみな『胸を隠せ』の大合唱。太っているように見られたくなくてダボッとした服を敬遠していたのに、だれも取り合ってくれません。上司からは『体のラインを出すな』『上着を羽織りなさい』と注意されました。付き合っていた彼氏にもダメ出しされて、本当に孤独でしたね。胸も私の体の一部なのに」

 キャスターとしての仕事は注目されず、胸だけが話題になる。全然、喜べなかった。

 望まぬ形で日本中の視線を集める中、今度は不倫騒動に巻き込まれる。

「巨乳というだけでみだらなイメージをもたれてしまうのに“不倫”ですからね。当時はちゃんと付き合っている男性もいましたし、堂々と疑惑を否定したかった。それなのに上司は、『表に出るな』『何も話すな』の一点張り。結局、お付き合いしていた男性の知人のご家庭に、かくまっていただくことになりました」

 立て続けに起こった騒動は、フリー転身を決意させるに十分だった。NHKとは1年契約で、その年も「残ってくれ」と頼まれた。「やりたいポジションを用意する」とまで言ってもらったという。ただ、逆風にさらされているときの上司の対応が、職場への愛着を失わせていた。

「最初から3年を区切りに考えていたこともあり、秋ごろにはフリーになろうと決断していました。所属先を今の事務所に決めたのは、ニュースステーションの制作をしていたからです。なのに、私がNHKを離れた3月に、番組は最後の放送を迎えて……。結局、出演はかないませんでした」

 2枚目の秘蔵写真は、出演していた「きらり!やまがた」の最後のオンエアを終えた直後にスタジオで撮られたもの。隣は制作部の後輩だ。目は涙で潤んでいる。

▽ふるせ・えり 1978年、山形県生まれ。2000年、玉川大学を卒業してNHK山形放送局の契約キャスターとなり、04年からフリー。

《スイカップに会えるセミナー》女子アナ・古瀬絵理の「相手が思わず本音をしゃべりたくなる話し方」 渋谷区恵比寿南2-24-9 Freewill トータルエデュケーション「セミナールーム」。12月19日(土)14時半~。定員35人、参加費7500円(交流会費含む、要予約)(問)[電話]080・4058・3338(吉野)

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