没後20年で脚光 “異能の映画人”伊丹十三が持つ7つの顔
2人の子宝に恵まれ、「子育ては自然豊かな場所で」と湯河原へ移住。仕事をセーブし、子育てと家事に取り組む。これが伊丹の“男性的人生観”に影響を与え、伊丹は精神分析に傾倒。この分野をテーマにした月刊誌「モノンクル」を出版する。
●面白がる天才
松山市にある「伊丹十三記念館」では、こうした伊丹の仕事や人となりを原稿や手紙、愛用品などと共に紹介。館長は妻の宮本信子だ。
同館の学芸員、中野靖子さんが言う。
「伊丹さんは物事を面白がる天才で、自分が面白いと思ったことを、他人にどう面白く伝えるかに心血を注ぎました。だからこそ、社会的な難しい題材も、極上のエンターテインメントにできたのだと思います」
発想の源は自らの“悩み”だったという。たとえば、大人の男としてどう振る舞えばいいか分からないという悩みからは、親の葬式で中年男があたふたする映画「お葬式」を生んだ。
そう聞くと、悩むのも捨てたもんじゃないだろう。悩める人は、伊丹作品に学んでみてはどうか。