「わたしは、ダニエル・ブレイク」は明日の日本の姿だ

公開日: 更新日:

 神奈川県小田原市で、生活保護受給者支援の担当職員らが10年間にわたり「保護なめんな」「不正受給はクズ」などの英文が書かれたジャンパーを着ていた問題で市民の怒りが収まらない。マグカップや携帯ストラップなど同様のグッズは計8種も存在し、保護係長発案のもと職員がデザインして製作されていた。人事異動の記念品にして悦に入っていたというのだから正気の沙汰とは思えない。

 こうした福祉行政の上から目線で威圧的な悪しき側面に、遠き英国から強烈なパンチをくらわすのが映画「わたしは、ダニエル・ブレイク」。カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した英国の名匠ケン・ローチの社会派ドラマだ。映画批評家の前田有一氏が絶賛する。

「デビューから50年近く、一貫して弱者の立場から社会批判を行ってきたケン・ローチ監督は、高齢で体調も優れず前作で引退を表明していましたが、非人道的な福祉行政に苦しむ人々を放っておけず再び立ち上がりました。持ち前の温かみある人間描写と、徹底取材によるリアルなストーリーからは監督の怒りと信念がひしひしと伝わってくる。パルムドールにふさわしい、心揺るがす傑作です」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝