ドラマは獄中の太一と、誤った判決を覆そうと奔走する妻・房子(蒼井優)を軸に展開される。最終的に太一は減刑されるが、ポイントは生還したことではない。太一の心の葛藤である。教授の暴挙を止めなかったこと、つまり「なにもしなかった罪」に苦しむのだ。
戦争だったから、本当のことを知らなかったから――。言い訳はいくらでもあったはずだ。しかし太一は、「しかたなかったと言うてはいかんのです」という心境に達し、一時は死刑を受け入れようとさえする。
感情を抑えた演技が光る妻夫木。粘り強く理不尽と闘う妻を好演する蒼井。重いテーマ「命をめぐる罪」と正面から向き合ったことで、終戦ドラマの秀作となった。