細田昌志
著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<31>奇跡の二冠を達成した野口修の絶頂と転落

公開日: 更新日:

 1973年12月31日。帝国劇場。「日本レコード大賞」授賞式当日である。この時代、出場歌手の関係者は指定された客席の一角に陣取った。山口洋子と平尾昌晃の姿もあった。しかし、野口修はここには座らず、カメラが抜かない後方の席に徳間音工や野口プロのスタッフと一緒に座った。

「だって、俺の戦いは終わっていたもの。やるだけのことはやった。戦うのは五木だけ。審査前に全員が出揃って歌うでしょう。これで『やっぱりこいつにしよう』って考えが変わる審査員もいるからね、当日は歌手本人の戦い。事務所の人間がそういうところで目立っても意味がないしね」(野口修)

 午後7時「輝く!日本レコード大賞」の放送が始まった。最初は新人賞の発表である。「涙の太陽」(安西マリア)、「コーヒーショップで」(あべ静江)、「赤い風船」(浅田美代子)、「わたしの青い鳥」(桜田淳子)、「草原の輝き」(アグネス・チャン)。この中から最優秀新人賞が選ばれる。下馬評ではアグネス・チャンの歌う「草原の輝き」が有力と伝えられた。ナベプロの所属というのも大きい。しかし結果は「わたしの青い鳥」が獲得した。桜田淳子の所属するサンミュージックは創業4年の新興プロ。それが最大勢力のナベプロに勝ったのだ。アグネス・チャンのデビューのきっかけをつくった人物にして、「草原の輝き」の作曲者である平尾昌晃の証言がある。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大阪万博批判は出尽くした感があるが…即刻中止すべき決定版が出た

    大阪万博批判は出尽くした感があるが…即刻中止すべき決定版が出た

  2. 2
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

  3. 3
    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

  4. 4
    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 7
    浜辺美波は順風満帆、趣里は「ブギウギ」のインパクトが…NHK朝ドラヒロイン“その後の明暗”

    浜辺美波は順風満帆、趣里は「ブギウギ」のインパクトが…NHK朝ドラヒロイン“その後の明暗”

  3. 8
    仲野太賀に注目!NHK朝ドラ「虎に翼」で寅子と結婚…そして、もうすぐ“優三ロス”が起こる

    仲野太賀に注目!NHK朝ドラ「虎に翼」で寅子と結婚…そして、もうすぐ“優三ロス”が起こる

  4. 9
    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚会員限定記事

  5. 10
    山下智久「ブルーモーメント」急失速は出口夏希の中国語が原因? 興奮すると飛び出す“ナゾ設定”

    山下智久「ブルーモーメント」急失速は出口夏希の中国語が原因? 興奮すると飛び出す“ナゾ設定”