山田勝仁
著者のコラム一覧
山田勝仁演劇ジャーナリスト

「喜劇 老後の資金がありません」で光る 小劇場育ちの俳優たちのパワフルかつ緻密な演技

公開日: 更新日:

 2019年に発表された金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の試算によれば「夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯では老後の30年で約2000万円が不足する」という。その試算に先立つ4年前に刊行された垣谷美雨の小説を舞台化したのが本作。

 主婦の後藤篤子(渡辺えり)は、家計を妻に任せっきりの夫(羽場裕一)、娘・さやか(多岐川華子)と長男・勇人(原嘉孝)の4人家族。契約社員として働きながら、コツコツと老後の資金を貯めてきて貯蓄額は1200万円。

 唯一の楽しみは生け花教室に通うこと。先生の城ケ崎(松本幸大)は皆の憧れの的で、年上の生徒、関根(明星真由美)とただならぬ関係のよう。そこで知り合い、親友となった神田サツキ(室井滋)は夫(宇梶剛士)と小さなパン屋を営んでいた。

 身の丈に合った生活で老後も安泰と思っていた篤子だが、義父が死亡、義妹の志々子(一色采子)に喪主を押し付けられ、葬儀代を持つことになる。さらにさやかが結婚することになり、相手方の希望で豪華な結婚式で支払いを折半。ただでさえ姑の芳子(長谷川稀世)への仕送りが月々9万円もあるのに老後資金は目減りするばかり。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  1. 6
    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

  2. 7
    元Kis-My-Ft2“辞めジャニ”北山宏光の大誤算…ソロコンサートのチケットが売れない!

    元Kis-My-Ft2“辞めジャニ”北山宏光の大誤算…ソロコンサートのチケットが売れない!

  3. 8
    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  4. 9
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  5. 10
    岸田首相の起死回生策? 国会閉幕後に囁かれる「オールスター内閣改造」は成功するのか

    岸田首相の起死回生策? 国会閉幕後に囁かれる「オールスター内閣改造」は成功するのか