てれびのスキマ 戸部田誠
著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

変なことをしたい欲望 片桐はいりは感情に「!?」のつく最上級の喜びを求め続ける

公開日: 更新日:

 むしろ、一貫して同様のことを言い続けている。「いい男に迫るみたいな役がしょっちゅうあるんですよ。私はいつも思うんですけど、男の人ってそんなにブサイクな人に迫られるっていう経験がいっぱいあるんですか?」(TBS系「サワコの朝」16年9月17日)と皮肉まじりに言ったこともある。それでも、いまだに「男社会」でつくられる女性像は狭いままだ。

 片桐は幼少期、「白鳥の湖」に魅了され、バレエを始めようとしたが、バレエ教室で自分とは真逆の顔の小さな人たちを見て、自分には無理と「初めての挫折」を味わった。だが、表現欲は収まらず、大学で演劇を始めた。初舞台では泣いたという。「感動で」ではない。「つまらなくて」がっかりしたのだ。そんなはずはない、と思い続けて、芝居の世界にどっぷり漬かっていった。

「ある人の人生を忠実に再現するとか、台本をより感動するように表現するというようなことにはそんなに興味がなくて、変なことをしたい。それだけの欲望なんだと思う」(同前)と片桐は言う。だから、彼女は半分自動販売機女、人類が生まれる前から地球に住んでいた役、宇宙人、閻魔大王、丸呑みの女王様、お地蔵さん、木……など、いろいろな変な役を演じ続けている。

「ん、なんだ!?」のように「!?」がつく感情になるのが「最上級の喜び」で「私はそれを求めている」(同前)と彼女は言う。そうやって片桐はいりは見る者の頭にさまざまな「!?」をつくり続けているのだ。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  2. 2
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  3. 3
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 4
    木村拓哉ドラマはなぜ、いつもウソっぽい? テレ朝「Believe」も“ありえねえ~”ばっかり

    木村拓哉ドラマはなぜ、いつもウソっぽい? テレ朝「Believe」も“ありえねえ~”ばっかり

  5. 5
    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

  1. 6
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  2. 7
    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

    長女Cocomi"突然の結婚宣言"で…木村拓哉と工藤静香の夫婦関係がギクシャクし始めた

  3. 8
    浜崎あゆみの足の形は日本人の中では少数派だった! 過去には池田エライザも話題に

    浜崎あゆみの足の形は日本人の中では少数派だった! 過去には池田エライザも話題に

  4. 9
    今やプラチナチケット…「サンライズ出雲」に乗って実感!“人気すぎる夜行列車”の最高の楽しみ方

    今やプラチナチケット…「サンライズ出雲」に乗って実感!“人気すぎる夜行列車”の最高の楽しみ方

  5. 10
    マイナ保険証「スマホ搭載」で別の読み取り機導入か…ゴリ押し負担増に医療現場は激怒!

    マイナ保険証「スマホ搭載」で別の読み取り機導入か…ゴリ押し負担増に医療現場は激怒!