東日本大震災から12年…「南海トラフ地震臨時情報」が出たその時、どう行動すれば?

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「全割れ」なら富士山噴火?

 現在、地震予知の難しさから「予知情報」「警戒宣言」の発表はなくなっているが、想定震源域内で大規模地震や地殻変動が観測された場合に、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報」が発表されることになっている。

 まず第1段階が南海トラフ地震の可能性が高まったと評価された時に出される「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」。震源域または周辺でM6.8以上の地震やゆっくりすべり(地殻変動)が観測された際に出される。

 ただ、NHKスペシャルでも紹介されていたように「必ず地震が起きる」とは限らないので発表自体がためらわれる可能性もある。

 次が「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」。東側あるいは西側でM8.0以上の「半割れ」が起きた場合に発表される。

 さらに「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」。想定震源域内でM7.0以上、M8.0未満の「一部割れ」などの地震が起きた場合に出される。注意と聞いて軽微な印象を受けるが、いずれ来るM8クラスの地震での被害は同じだ。

 繰り返すが、次の巨大地震が32時間後なのか2年後なのかは誰も分からないので、やきもきしながら待つことになる。

 一方、地震が「全割れ」だった場合も被害は甚大。直近で全割れだった南海トラフ地震である1707年の宝永地震では、約50日後に富士山が噴火して関東の広範囲に火山灰が降り注いだ。

■生き延びるためには?

 では、3種類の南海トラフ地震臨時情報が出たら、どのように行動したらいいのか。

「気象庁から臨時情報が発表された場合、携帯電話の緊急エリアメールでその旨を伝えます。地域の防災スピーカーや緊急パトロールカーでも案内をいたします」(高知県南海トラフ地震対策課)

 臨時情報の「調査中」が出された場合、家具の転倒防止などの再チェックは必須だ。

「地震の揺れに備え、家具の転倒でけがをしないよう、L型金具や突っ張り棒などで固定してください。また火災に備え、感震ブレーカーの設置を推奨しています。感震ブレーカーの設置については一部補助もあります」(名古屋市危機管理企画室)

 地域のハザードマップを確認、家族との連絡手段を決めておき、非常用持ち出し袋の中身(食料、水、常備薬、懐中電灯、充電器等)の点検や簡易トイレの用意も進めたい。この時点で買い物客がスーパーに殺到し在庫が不足することが予想されるが、自分だけでもパニックは避けたい。

 臨時情報の「巨大地震警戒」の場合は、津波被害を防ぐため、事前避難対象地域の住人と高齢者等事前避難対象の住人は1週間の避難生活を送ることになる。静岡県から宮崎県の日向灘沖の南海トラフだけでなく、千葉県館山市の海岸部、神奈川県藤沢市の江の島、片瀬海岸の住人なども避難の対象となる。

「各自治体に避難所が用意されます」(高知県南海トラフ地震対策課)

 知人や親類を頼って他県への避難も推奨されている。1週間後に危機がなくなるわけではないが、避難生活も1週間を超えると別の問題が出てくるので便宜的に1週間と定められている。高知県では1週間後から「警戒レベルを上げて生活」、2週間後以降は「地震に注意しながら通常の生活」を行うとしている。

 臨時情報の「巨大地震注意」のケースでは、いつ地震が来ても逃げられる用意が重要になる。

 非常用袋やヘルメットは玄関に、枕元には履きなれた靴を置き、場合によってはすぐに逃げ出せる服装で就寝することも必要になってくる。

 最終的には自分の命は自分で守るしかない。南海トラフの想定死者数の約23万人が、2013年の試算から約3割減ったのも避難がうまくいくことを想定しているから。「自治体から連絡がなかった」という言い訳だけは避けたい。

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