広島・菊池、ソフトバンク柳田も…地方の大学生を見逃すな
「あのなあ、いくら地区のレベルが低いっていっても、その中でズバ抜けた数字を残してるってのは、どこかが突出してるからだろう。日米野球の代表選考にしても、監督やコーチが六大学とか東都の連中が多いから、どうしても地方の選手は軽視されがち。中京学院大だった菊池(現広島)にしても合宿に参加しながら結局、代表になれなかったからな。地区のレベルがたいしたことがないという理由だけで蹴飛ばすのは早計だし、それで人気が落ちるならむしろ狙い目だろう」
エラいさんがニコニコと、うなずきながら部長の話を聞いてるよ。おまけに部長まで……。さすがにムカッとして「じゃ、性格はどうです? いい加減だって話ですよ」と言うと、部長が待ってましたとばかりに言い返してきた。
「当時、広島経済大にいたソフトバンクの柳田がいい例じゃねーか。首位打者を何回も獲得して性格もチャランポランとか言われながら、プロであれだけやってるだろ。確かに性格は重要だが、おまえ、いま話題になってる選手のことを自分自身の足を使ってちゃんと調べたか? 同じ地区担当でよくつるんでる他球団のスカウトから聞いたんじゃないか?」
「それは、いや……いい加減って言うヤツが何人もいるんで……」
図星だけに、こっちはシドロモドロさ。それにしても最近、部長がやけに冷たいんだよな。