山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

プロ野球開幕で改めて実感 阪神和製大砲出現への険しい道

公開日: 更新日:

 また、これと似たパターンとしては93年のドラフト2位・平尾博嗣が思い出される。高校通算68本塁打という実績を引っ提げ、大型内野手として期待されたが、プロではどちらかというと器用なユーティリティープレーヤーといった感じだった。同時代に巨人でクセ者と呼ばれた元木大介も高校時代は長距離砲として鳴らしたものの、プロではダウンサイジングされたことを考えると、この時代の高校野球スラッガーにはプロの壁が高かったのかもしれない。

 思えば、萩原も平尾も元木も身長170センチ台半ばから180センチで、プロでは決して体が大きいほうではなかった。同時代を代表する長距離砲(清原和博松井秀喜ら)の多くが高身長の巨漢タイプだったことを考えると、もしや大砲の可能性とボディーサイズは比例するのではないか。阪神では掛布雅之が小柄な長距離砲だったから、つい見落としがちになってしまうが、普通に考えれば掛布は超例外だったのだろう。

 しかし、阪神の未完の大砲列伝には88年ドラフト3位の金子誠一もいるからややこしい。彼は身長191センチのまさに巨漢男で、当時MLB屈指の大砲だったホセ・カンセコにちなんで和製カンセコ(KANEKOにSを加えるとKANSEKOになる)と呼ばれるなど期待されたが、プロでは短めのバットでコンパクトなスイング。意外に小技もうまく、見た目とのギャップに身もだえた。

 結局、金子も大成することはなく、95年限りで現役引退した。高校野球のスラッガーでも未完が続き、巨漢でも未完が続く。虎の和製大砲出現への道は険しいようだ。

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