山田隆道
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山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

巨人との首位攻防戦で活躍 阪神の黒歴史を覆す大山悠輔の不思議な魅力

公開日: 更新日:

 ところが、今年はちがった。初戦も2戦目も阪神が中盤までのビハインドをはね返しての逆転勝利。2戦目なんて、かわいいかわいい悩める主砲・大山悠輔の逆転サヨナラ2ランで巨人を沈めるという、超贅沢なご褒美まで飛び出したのだ。

 この9月の首位攻防戦で、出来の悪いうちの主砲(親愛を込めて)がこんな確変フィーバーを起こすなんて、これまでの阪神史上ではあまり見たことがない。出来は悪いかもしれないけど、なんか応援したくなってしまう不思議な魅力にあふれた阪神生え抜きの和製大砲(90年代以降にたくさん出現)とは、こういう土壇場でこそ凡退するものだった。大山はそのパターンを覆したのだ。

 だから、私はどんなに不振であっても大山の打席に期待してしまうのだろう。大山が打つと本当にうれしい。大山のサヨナラ弾で巨人を負かしたなんて、これはもう最上の喜びかもしれない。

 古い話で恐縮だが、89年の阪神―巨人戦で当時の主砲・岡田彰布が3点ビハインドの八回裏2死満塁の場面で打席に入り、巨人・ガリクソンから左翼席に逆転満塁ホームランを放って勝利したことがあった。大山のサヨナラ弾を見たとき、一瞬あの喜びを思い出したのだが、いや、今回は優勝争いの場面で、しかも甲子園での一発だから、あれとも比較にならない。長いこと阪神を見てきたけど、大山は本当にすごいことをやってのけた。

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