北京五輪での袋叩きも吹き飛ばす フィギュア“ロシア鉄の女”が手にする膨大なカネと権力
さらにモスクワ州政府からも報奨金があり、こちらは金で200万ルーブル(約300万円)、銀で125万ルーブル(約188万円)、銅で85万ルーブル(約128万円)。金2個、銀2個で650万ルーブル(約976万円)となり、トゥトベリゼは今大会だけで合計1950万ルーブル(約2926万円)を手にする計算になる。
■国家予算でスポーツ複合施設のオーナーに
トゥトベリゼをはじめとするロシアの指導者たちが手に入れるのはカネに限らない。ロシア情勢に詳しい筑波大の中村逸郎教授が言う。
「選手を指導するコーチにどんな得があるのかというと、一番は『権力』です。国家予算でスポーツ複合施設を造ってもらい、そこのオーナー権を得られるのです。建前上は国立の施設ですが、政府の資金で経営者、オーナーになり、そこで自由に金儲けをすることができる。これがロシアのコーチにとっては勲章なのです。ロシアでビジネスを成功させるには、政治の力と権力が不可欠。その両方が手に入るわけですから。そもそもロシアでは、一時的なお金よりもビッグビジネスに関心が高い。ロシアの通貨に対する信頼度が低いこともあります。いつ暴落して紙切れになるか分からないので、『ルーブルでなくドルでほしい』と思っている選手も多いでしょう」
世界中から袋だたきにされようが、そんなものを吹き飛ばせるくらい大きな「カネ」と「権力」を「鉄の女」は手に入れるようなのだ。