三笘薫を見いだした“川崎の目利き”が語る プロ契約までの紆余曲折とW杯8強への期待

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決めたことは絶対にやり通す

 ──どういったキャラクターの持ち主ですか?

「薫は、本当に芯が強いタイプです。自分が決めたことは絶対にやり通すし、自分自身の生活リズムを周囲に左右されることもなかった。ユース年代では、親分肌のチームメートのペースに引きずられてしまう選手もいますが、薫は一切それがなかったですね。常に明確な目標や目的を立て、自分のペースを守って着実にこなしていくタイプでした。薫の言葉で印象的なものがあります。『環境が選手を育てるのではない。どんな環境であっても自分次第で成長できる』と常々言っていました。クラブや高体連、芝のピッチや土のグラウンドなど環境はいろいろ違っても、自分自身がきちんとした意志を持ち、最大限の努力をしながらチャレンジしていく。こうやって薫は成長していったと思います」

 ──スカウトとして選手を獲得する際、どんなところに注目するのか?

サッカー以外の部分で重視するのが『人間力』です。単にサッカーがうまいだけでは、なかなか伸びていかない。やはり『周囲に感謝する』『チームに協力する』『仲間の力になれる』という部分はじっくり見ます。試合でも練習でも、不平不満や文句ばかり言っている選手は取りたくないですね。川崎の選手は『総じておとなしい』とよく言われますが、チームとしては『ウチで長くプレーしてほしい』と思っていますのでチームの雰囲気を壊しがちな選手、私生活が乱れがちな選手を選択することはありません。プロとしての技術を持ちながら、チームと一緒に『ひとりの人間としても成長していける選手』をこれからも見つけていきたいと思っています」

三笘薫(みとま・かおる) 1997年5月20日、神奈川・川崎市生まれ。川崎フロンターレU-10に加入。高校卒業まで川崎の下部組織でプレー。筑波大を経て2020年川崎に入団。21年に東京五輪出場。同年11月に日本代表に初選出され、W杯最終予選のオーストラリア戦で途中出場から決勝ゴールを含む2得点を決めるなどW杯出場に貢献した。22年夏から英ブライトンに復帰することが発表された。

向島建(むこうじま・たつる) 1966年1月9日、静岡・藤枝市生まれ。静岡学園高-国士舘大-東芝(現J1札幌)。92年、Jリーグ発足時のオリジナル10クラブ・清水に移籍。身長161センチと小兵ながらスピードとクイックネスを生かした切れ味鋭いドリブルで活躍。ニックネームは「清水の牛若丸」。97年に当時JFLだった川崎に移籍。2001年に現役を引退。05年から川崎の強化部でスカウトを担当している。

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