春日良一
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春日良一五輪アナリスト

長野県出身。上智大学哲学科卒。1978年に日本体育協会に入る。89年に新生JOCに移り、IOC渉外担当に。90年長野五輪招致委員会に出向、招致活動に関わる。95年にJOCを退職。スポーツコンサルティング会社を設立し、代表に。

疑惑の高橋治之元理事への活動費9億円と突出 偶像のための五輪などあってはならない

公開日: 更新日:

 東京五輪2020招致活動費の明細には、多数のコンサルタントへの支払いが記録されているが、渦中の高橋治之氏の会社「コモンズ」への活動費は突出している。約9億円は相当な額である。

 五輪開催都市は約100人の国際オリンピック委員会(IOC)委員の投票で決まるが、中でもアフリカ出身の委員の票は浮動票といわれ、その集票が招致成功の可否に大きく関わる。

 しかし、このアフリカ票にアプローチできる日本人は少ない。当時IOC委員でもあり、国際陸連会長でもあったラミン・ディアク氏と世界陸上のマーケティングで密接な関係にあることをアピールし、高橋氏はアフリカ票を請け負った。その結果、招致に成功したと見える。本当にアフリカ票が入ったかどうかは誰にも分からないが。

 高橋氏は2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会設立当初の最後の理事だった。14年6月5日、組織委の評議員会は決まってなかった35人目の理事に高橋氏を選んだ。電通は組織委の国内マーケティング活動を担う専任代理店に選ばれていたが、電通側からの人材が決まらなかった事情が垣間見える。結果、既に電通を退いている高橋氏が選ばれた。それによって高橋氏は組織委理事の立場で電通に対することができ、また、組織委には全てを任せている電通を仕切れる人と映る。電通を退いても力を保持できることになる。

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