元川悦子
著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

GKシュミット・ダニエル 明日のW杯ドイツ戦先発と言われたら「自信を持って臨める」

公開日: 更新日:

「武器である高さを生かしてチームを助けるプレーを」

 ──課題と話していたシュートストップも最近、劇的に改善している。

「シントトロイデンのGKグループでやってる練習の成果です。今季からのGKコーチはドイツ人でアグレッシブなスタイルがモットー。新加入のGKジョーは、能力が高くて人間的にも素晴らしく、前向きな声掛けをしてくれるのも大きいですね。僕はもともと優しい性格なんですが(笑)、彼が加入して闘争心をかき立ててくれた。『ベルギーで一番のGKグループになろう』とみんなで話しているので実現させようと頑張ってます」

 ──それが代表での好プレーにつながっている。

「そうですね。エクアドル戦のPKストップは、90分の試合の中では初めてだったんです。今までPK戦のシュートしか止めたことがない。反響はありました。ただ、流れの中のプレーを見直すとハイボールはもっとバ~ッとはじき飛ばす感じでやりたかった。シンプルに放り込んでくる相手もいますし、出る、出ないの判断基準をしっかりすることが大事。ベルギーに来る前は(ゴール)エリアを基準にしていましたが、今はボールの高い低いで判断していることが多いかな。武器である高さを生かすことでチームを助けられるプレーも増やせると思います」

 ──エクアドル戦を経てW杯のドイツ戦に出るイメージは湧いた?

「おそらくドイツもコスタリカもスペインも放り込んではこないでしょうね。ただ、セットプレーは確実にある。エクアドル戦やベルギーでの経験は生かせると思います」

 ──自分にとってのカタールW杯とは?

「ロシア大会が終わって代表に呼んでもらえるようになってから、ずっとW杯は意識してました。自分が今、そこに入るか入らないかという位置にいられることは誇れること。目標に向かって突き進んだ自分を褒めたいかな、とも思ってます。でも決して満足はしてないし、ここまで来たからには(W杯の)試合に出たい。人生を変えられるチャンスだと思うんで。それにしてもJ2にいた時には、今の自分を想像もできなかったですね」

 ──「明日のドイツ戦に先発する」と言われたら?

「緊張はメチャクチャするでしょうね(笑)。そういう状態になったことは、人生で一度もないんですけど。でもきっと自信を持ってW杯に臨めるかなと。試合前日の心境を永嗣さんに聞いたら、どんな答えが返ってくるんだろう……。今度聞けたらぜひ聞きたいです」

■理想のGKは身長2メートルのベルギー・クルトワ

 ──理想のGK像は?

「クルトワですね。実績的に世界ナンバーワンだし。彼と比べたら自分は全部足りない。やっぱりシュートが入る気がしないんですよ、見ていて」

 ──そのクルトワからロシアW杯で原口元気(ウニオン・ベルリン)と乾貴士(清水)は得点した。

「本当に元気、凄いなぁ(笑)。乾君はペナ(ペナルティーエリア)の外からでしたしね。入る気がしないと思われるGKでも、失点することはあります。僕が担っているのは、それだけ難しい仕事なんですよ。勝敗を託される責任の重さもつきまといますけど、その分(フィールドの選手みたいに)走らないから仕方ない。常日頃からそう言い聞かせてます」

 ──今の自分が目指すべきことは?

「チームを勝たせられる存在になることが大事。そうなれば代表でも必要とされるし、W杯で試合に出られる可能性も上がる。まずはベルギーで最少失点を続けたいです」

シュミット・ダニエル 1992年2月3日生まれ。米国イリノイ州で米国人の父と日本人の母との間に生まれ、2歳で仙台市に移住。東北学院高入学後にGKに本格的に転向。中大から2014年にJ仙台入り。熊本、松本への期限付き移籍を経て19年7月、ベルギー1部シントトロイデンに完全移籍した。18年8月に代表初招集。同年11月のベネズエラ戦で代表デビュー。197センチ・88キロ。

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