メジャーリーガーの五輪派遣解禁を阻む「機構」vs「選手会」の対立構造
加えて2023年のワールドベースボールクラシックに対する選手たちの意気込みもかつてないものだった。
機構が従来の方針を転換してオリンピックに対する友好的な姿勢を打ち出すこともあり得ない話ではない。
だが、選手の参加の前提がオールスター戦の中止や公式戦の短縮である点には注意が必要となる。
前者は機構が収益を全30球団に配分する放送局との放映権料に影響するし、後者は試合数の削減による年俸の見直しの議論につながりかねないからである。
特に年俸については、「コロナ下」の2020年に試合数が削減された際、選手会側が試合数と年俸を連動させることに強硬に反対した経緯がある。ひとたび年俸の削減に同意すれば、経営者側がさらなる年俸抑制策を打ち出すことが警戒されたからだった。
今回の報道には、球界関係者や世論がどのような反応を示すかを確認するという役目もある。実際、コミッショナーのロブ・マンフレッドがオリンピックへの選手の派遣に懐疑的な見方を示したのは、計画が頓挫した場合の逃げ道を確保していることに他ならない。
大リーグ選手がオリンピックに参加するか否かは、当分議論が続くことになる。