金井真紀の本でフムフム…世界旅
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「ピロスマニ 放浪の画家と百万本の薔薇」ギオルギ・ガメズ著、児島康宏訳
「ピロスマニ 放浪の画家と百万本の薔薇」ギオルギ・ガメズ著、児島康宏訳 わたしは外国語が好きだ。でもまともに話せたり読み書きできる言語はひとつもない。ただのひとつも! じゃあ何が好きなのかとい…
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「運び屋として生きる」石灘早紀著
「運び屋として生きる」石灘早紀著 基本、行き当たりばったりで生きている。あれは一昨年の冬。モロッコの言語を研究する老教授からメールが届いた。「しばらくモロッコに滞在するから、よかったら訪ねてお…
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「鳥が人類を変えた」スティーヴン・モス著 宇丹貴代実訳
「鳥が人類を変えた」スティーヴン・モス著 宇丹貴代実訳 「わしは本を読まん。鵜からいろんなことを学んどるで」と、長良川の鵜飼は言った。本を書いているわたしに向かって、うれしそうな顔で続けた。「本…
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「世界ぐるぐる 怪異紀行」奥野克巳監修、川口幸大ほか著
「世界ぐるぐる 怪異紀行」奥野克巳監修、川口幸大ほか著 アフリカ出身の友人と話していて驚いたことがある。彼はかつてある政党の党員だったが、それを同胞には隠している。「敵対する政党の支持者に知ら…
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「世界のねこことわざ」noritamami著
「世界のねこことわざ」noritamami著 安易に猫の俳句は作らないようにしている。句会でもなるべく猫の句に点を入れないようにしている。猫はずるい。存在自体に俳味があって、どう作ってもなんと…
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「アフガンの息子たち」エーリン・ペーション著 ヘレンハルメ美穂訳
「アフガンの息子たち」エーリン・ペーション著 ヘレンハルメ美穂訳 アフガニスタンに行ったことはない。でもアフガニスタン出身の人には何度か会ったことがある。パリの路上、難民たちに食料を配っている…
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「世界の飼い犬と野生犬」トム・ジャクソン著、菊水健史監修、倉橋俊介訳
「世界の飼い犬と野生犬」トム・ジャクソン著、菊水健史監修、倉橋俊介訳 この本と同時に「世界の飼い猫と野生猫」も発売になって、わたしの心は揺れた。どちらも写真満載、大判のビジュアル図鑑。わたしは…
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「語れ、内なる沖縄よ」エリザベス・ミキ・ブリナ著 石垣賀子訳
「語れ、内なる沖縄よ」エリザベス・ミキ・ブリナ著 石垣賀子訳 お母さんは娘の名前「エリザベス」を正しく発音することができない。お母さんは買い物に行くとき、びくびくしている。お父さんと娘が文学や…
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「インドの食卓」笠井亮平著
「インドの食卓」笠井亮平著 どんな国を旅したあとも、帰ってきてしばらくは楽しい中毒症状に陥る。現地で食べたものを日本で探したり、その国の映画を見たり。 インドのときは重症だった。帰国後…
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「地図でスッと頭に入るアフリカ 55の国と地域」昭文社出版編集部編、白戸圭一監修
「地図でスッと頭に入るアフリカ 55の国と地域」昭文社出版編集部編、白戸圭一監修 先日、友人と「アフリカの国名を交互に挙げていく遊び」をして大いに盛り上がった。余裕綽々で「エジプト」カードを切…
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「食卓の世界史」遠藤雅司(音食紀行)著
「食卓の世界史」遠藤雅司(音食紀行)著 「ぼくがつくったジュースを飲めば絶対に風邪をひかない」とイラン人のメヘディさんは豪語している。テヘランのお宅を訪ねたとき目の前で作ってくれたそれは、クミン…
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「ローカルボクサーと貧困世界」石岡丈昇著
ディープな参与観察をする人に、尽きせぬ憧れと小さな敗北感を抱いている。たとえば沖縄の若者を調査するため暴走族のパシリになった社会学者・打越正行さんとか、タンザニアの路上商人となって彼らのいかがわしく…
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「不機嫌な英語たち」吉原真里著
「不機嫌な英語たち」吉原真里著 先日、トークイベントでこんな質問が飛んできた。「金井さんは海外で取材をしますが、外国語はいくつできるんですか?」。正直であるべきだと力んだ結果、わたしは正直に答…
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「サザエさん 旅あるき 海外編」長谷川町子美術館編
「サザエさん 旅あるき 海外編」長谷川町子美術館編 父はパスポートを持つことなく生涯を終えた。「海外なんて危ないし汚い」と、行ったこともないくせに悪口を言った。隙あらば海外をほっつき歩きたいわ…
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「母、アンナ」ヴェーラ・ポリトコフスカヤ、サーラ・ジュディチェ著、関口英子、森敦子訳
「母、アンナ」ヴェーラ・ポリトコフスカヤ、サーラ・ジュディチェ著、関口英子、森敦子訳 モスクワの街頭で、エルサレムの街頭で、反戦の声をあげる人がいる。その動画を見るたびにわたしは震え上がる。警…
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「ガーナ流家族のつくり方」小佐野アコシヤ有紀著
「ガーナ流家族のつくり方」小佐野アコシヤ有紀著 思えば無知で怠惰な10代だった。世の中にどんな学問があるかも知らず、やる気も自信もなく、もちろん成績も悪く、ふてくされていた。 もしもあ…
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「アートで楽しむサウナぎつねのフィンランド巡り」ピヴェ・トイヴォネン著
ガイドブックとしては、ずいぶん不思議なつくりである。紹介されているのはフィンランドに実在する60以上のサウナ。ごく控えめに(本文より小さな文字で)サウナの名が記され、あとは美しい水彩画と数行の印象的…
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「遠くから見たら島だった」ブルーノ・ムナーリ著、関口英子訳
「遠くから見たら島だった」ブルーノ・ムナーリ著、関口英子訳 原稿を書こうとパソコンに向かったはずなのに、気づいたらくだらないコタツ記事を読んでいる。SNS上で繰り広げられる見知らぬ他人どうしの…
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「砂漠の教室」藤本和子著
「砂漠の教室」藤本和子著 夏前に本を手に入れて、でもすぐに読み始めなかった。楽しみすぎてぐずぐずしていた。この感覚、本好きならわかってくれるだろうか。大好きな著者の紀行もの、せっかく文庫なんだ…
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「ウネさんの抱擁」チョン・ウネ著 たなともこ訳
「ウネさんの抱擁」チョン・ウネ著 たなともこ訳 わたしがイラストレーターになった発端は新宿ゴールデン街の行きつけの店のママの緊急入院にさかのぼる。今から15年前のはなしだ。急きょ、代理ママを務…