「知識のない税理士は意外と多い」"相続ソムリエ"が語る…相続で失敗しないポイント
最も大切な家族間のコミュニケーション
相続を成功させるためにはどうすればいいのか。ポイントは?
「その中で一番大切なのは家族間のコミュニケーション。それがうまくいっていないとどういう制度を持ってきても、どんな敏腕の税理士がついたとしてもなかなかうまくいきません。私の経験からいうと、お正月やお盆に集まるような家族は相続で揉めません。それは、お互いのことを大切に思っていて普段から密な関係を築いているからなんです。できればこんな家族になってほしいものですね」
■相続は生前から準備する
相続成功の大事なポイントは他にもある。というのも相続は被相続人が亡くなって初めて発生するものだが、それからでは遅すぎる。被相続人が生前のうちから対策しておくことが基本だからだ。
「まずは親がいくら財産を持っているのかを知っておきましょう。聞きにくいことかもしれませんが、それをしないと始まりません。親子だけで話そうとすると嫌悪感を抱かれる親御さんも多いので、税理士を間に入れて話すのがいいでしょう」
さらに終活が注目され、その中で話題となることがしばしばある「遺言書」は相続を考える上で欠かせないものだと北井氏はいう。
「遺言書はとても大事ですが、形式要件を満たさないと無効になってしまうので、税理士など専門家のアドバイスを受けながら作成すること、そして、年に一度は内容を見直すことが大切です」
■生かすも殺すも税理士次第
家族のコミュニケーションは良好で親の財産額を確認した。遺言書も用意した。これでいつ起きても相続は万全だと安心するのはまだ早い。最後にもう1つ知っておいてほしいことがある。それは相続の申告は手慣れた税理士に依頼するということだ。
「相続税の知識はあるが、申告したことがないという税理士が意外と多いのです。知識のない税理士に頼んでしまうと5000万円で済むはずの相続税が2億円なんてこともありますからその差は見過ごせません」
今回は基礎の基礎。これだけは最低限知っておくべきという内容だったが、次を書くのなら反面教師になるようなトラブル集も面白いかもと北井氏。「相続ソムリエ」おススメの次なるディナーが今から楽しみだ。