データ室・武田記者のラップと馬場差を徹底分析する

令和最初のダービー馬は近年にないタイプ

公開日:2019年5月28日 16:50 更新日:2019年5月28日 16:50

 今回はまず本論の前に一言、映像の関係者にお願いしたいことがある。ダービーやジャパンCなど東京の大レースでスタート直後、ラチの内の下から撮る映像だ。確かに迫力はあるが、ゲートの出が非常に分かりづらいという難点が。ダービーでもサートゥルナーリアがゲート内でうるさそうに見えたところでスタート。パトロールを見るまで、どれほど遅れたのかよく分からなかった。

 さて、そのサートゥルナーリア。パドックを見るまではいい雰囲気に見えた。だが、発走直前の輪乗りの時には最もうるさかった(あくまでもテレビに映っている範囲だが)。その時点で「あれれ?」と。

 このイレ込みが出遅れにつながり、その結果、位置取りが悪くなって、直線では最も外へ。高速馬場では典型的な負けパターンといえる。

 逃げたリオンリオンのラップは速かった。5F通過は57秒8。これはキングカメハメハの04年に記録された57秒6に次ぐもの。くしくも、5月としては異例の暑い日である。

 ただ、そこから2番手ロジャーバローズまでは離れていた。自身の推定5F通過は59秒2。この位置で今の馬場なら平均ペースで、ダノンキングリーあたりはスロー。サートゥルは届かない位置ということになる。

 ただ、勝ち馬は平均ペースといっても、残り400メートルで先頭に並んだ。2000メートル通過は1分58秒7で、そのまま押し切ったのだからフロックではない。1枠1番を最大限利用したことは確かでも、追ってバテずにジリジリ伸びる。およそディープインパクト産駒らしくないタイプだ。

 同時に弱点もここにあり、ここまで6戦の上がり3Fは35秒1~9。一度も33秒台はおろか、34秒台もない。令和最初のダービー馬は近年にないタイプで、「瞬発力勝負に持ち込ませない」というスタイルはレースを面白くする。今後の活躍に期待したい。

 ◎ダノンキングリーはよく頑張った。戸崎が直線で外に馬体を併せにいくような動きをしたのは当然。まさか内に敵がいるとは思わなかったのだろう。

 ③着ヴェロックスは小回りの方が機動力を生かせるかも。ゴール前でこの馬に差されたサートゥルは距離の限界もあったのか。それとも母系からくる気性の難しさか。まだ答えは出ない。

 最終の目黒記念のラップも凄い。最も遅いところで500~700メートル地点の12秒2。一貫して速い数字が刻まれ、このレースも2分28秒2のレコード決着だった。

 注目したいのはブラストワンピースと似た位置(3、4番手)にいたゴーフォザサミット。向こうが59キロとはいえ⑧着に沈んだのに対して、こちらは④着に健闘。この0秒5差は価値ありだ。

武田昌已

武田昌已

月~金は麻雀、土日はウインズだった学生生活を経て、入社後は編集一筋25年超。2015年春は何と9週連続重賞的中の快記録も達成し、2016年は春東京でGⅠ4連勝も。馬場の傾向、ラップの分析に定評がある。毎週、目黒貴子さんとその週の重賞解説の動画も公開中。

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