小三治師匠から言われた「教えられた通りにやればいいというわけじゃない」という言葉

公開日: 更新日:

 10月7日は昨年亡くなった三三の師匠、小三治の命日であった。どんな師匠だったのだろうか。

「弟子たちに自分からアプローチすることはなかったですね。自分の姿を見て学べ、という考えでした。僕が前座時代に言われたのは、まず『大きな声でやれ』。次に、『落語に聞こえないから、落語らしくやれ』。二つ目になって、『落語らしくは聞こえるけど、物語を語るだけじゃなくて、登場人物の気持ちを語れ』というくらいですか。賞を頂いた時も、あえて報告しませんでした。師匠は『賞を取ったからといって、噺がうまくなるわけじゃない』という考えでしたから。『賞とか名跡といった肩書は芸と関係ないんだ』とも言ってました」

 ひたすら芸を探求した孤高の名人、小三治らしい考え方である。

「晩年、師匠の独演会のお供をするようになって、ある時ポツリと言われた、『教えられた通りにやればいいというわけじゃない』という言葉が印象に残ってます」

 三三は以前から教えられた通りに古典を演じるだけでなく、新作落語も演じるようになっていた。きっかけは2009年、新作派の三遊亭白鳥と始めた「白鳥・三三 両極端の会」である。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  2. 2
    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った

    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った会員限定記事

  3. 3
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  4. 4
    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

  5. 5
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    石原裕次郎(12)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(12)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

  4. 9
    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた

    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた会員限定記事

  5. 10
    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」

    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」