「え、彼氏いたの?」処女のままの私と、処女を喪失していたオタ友への嫉妬。【48歳で「男」を知りました。】
「大人になったら彼氏ができるはず!」と思っていた
パートナーなしの50歳独女ライター、mirae.(みれ)です。2年前の48歳まで性体験がなかった私ですが、これまで処女である自分に焦りを感じたことは何度もありました。
バンドマンへのオタク活動をしながら仲良くなった友人に“嫉妬”を覚えたことも…。今回は友人から衝撃の事実を告白されたお話しです。
【48歳で「男」を知りました。】
前回のコラムでお話ししたように、無修正AVを見て、リアルな性交渉に嫌悪感を持ってしまった私。
甘く切ない恋はしたいし彼氏は欲しい。キスもしたいしハグもしたいけど、その先は怖い…。そんな葛藤に悩んでいました。
しかし、中高校時代は、周囲の友人知人たちも性体験をするどころか、まだ交際経験もないという感じだったので、自分に彼氏がいないことにそれほど焦りはありませんでした。
「まだまだ大丈夫。大人になればきっと恋人ができるはず!」
なんてのんきに思いながら、恋したバンドマンの追っかけにどんどんのめり込み、高校生活の大半をほとんどをオタク活動に費やしていきました。
芸能人という手に届かない相手への恋心は、リアルな性交渉を考えなくてもいい安堵感があったのかもしれません。相手に触れることも存在を知られることもない恋は、現実に向き合いたくない私にとっては居心地のいいものでした。
そうやってオタク活動に没頭する中で、推しバンド「U」のファンである友人「M子」ができたのです。
オタク活動の中で仲良くなった友人M子
私より1歳年下のM子は、東京の私立高校に通う女子高生でした。「U」のファンの多くは大学生や社会人だったため、同世代のM子とはあっという間に仲のいい間柄に。
東京生まれ東京育ちのM子は、メイクもしていてファッションにもこだわるとてもおしゃれな女の子でした。関東の田舎町出身でおしゃれに関心がなかった私にとっては、彼女は眩しい存在でもありました。
M子は「U」のギタリストHのファン。カリスマ性がありクセの強いボーカリストIとは正反対の甘い雰囲気を持つHは、バンドでは2番目に人気のメンバーで、M子はHにベタ惚れ。Iに恋をしていた私とは、会うたびにお互いの“好きな人”自慢や妄想をして楽しんでいました。
推しとの恋愛妄想にテンションMAX
ライブ会場に通う日々を過ごしていたある日、私たちは運よく最前列でライブを見る機会を得ることに。そして「最前列になったら、目が合ってお互い恋に落ちちゃうかも!」「手渡しでピックくれたりして!」などの妄想トークを繰り広げながら、首を長くして当日を向かえたのでした。
しかし、念願の勝負デー、彼女はライブ会場に現れませんでした。
友人M子には“彼氏”がいた!衝撃の事実
当時はまだインターネットも携帯もない時代。連絡を取り合うには、家電か、直接会うしかありませんでした。彼女と連絡が取れず、「どうしたのかな?」と心配している中、ライブから1週間後、私の家に電話がかかってきました。
電話口の彼女の声はどこか暗く沈んでいる様子。いつもと違う雰囲気を感じながら、
「なんでライブに来なかったの?」
私が切り出すと、30秒くらい長い沈黙が続いた後、
「実は…中絶をしたの」
と口火を切ったのです。その言葉を受け止められず、
「え? どういうこと?? 彼氏いたの?」
問いただすと、「そうだ」と答えるM子。
実は1年以上付き合っている彼氏がいるというのです。自分と“同志”だと思っていたM子に彼氏が…、大きなショックを受けました。
しかも中絶…? 初体験を済ませ、処女ではなく、あの気持ち悪い行為をしたってこと…??
混乱してまともに話が聞けない私は、電話を半ば一方的に切ってしまいました。
“ごく普通の女子高生”だったM子
M子に裏切られた――。あんなにHを好きだと言っていたのに彼氏がいるなんて…。彼氏、性交渉、そして中絶。突然知らされた衝撃的な事実をなかなか受け止められませんでした。
頭の中は、無修正AVで見たあのシーンがぐるぐる駆け巡ります。「大人になればいつか、ね」などと目を背け、先送りにしていた私には理解しがたく、また裏切られた気持ちから、M子はぶっ飛んだ女子高生、M子は道を踏み外した女子高生などと哀れみさえ感じていました。
勝手に自分と一緒だと思い込んでいただけ
でも、今思えば、M子は自らの心と体を傷つけてしまったものの、“ごく普通の女子高生”だったのでしょう。オタ活に没頭していた私が、勝手に“自分と同じ”だと思い込んでいただけで、彼女はちゃんと恋をして両思いになって性交渉をし、その恋人との毎日を謳歌していたのです。
そんな普通の恋愛ができる彼女に私は嫉妬していました。
この事件から、私とM子は疎遠になってしまい、Uのライブにも行かなくなってしまいました。同時にバンドマンIへの恋は終わったのでした。
(mirae.(みれ)/ライター)