片岡健
著者のコラム一覧
片岡健ノンフィクションライター

出版社リミアンドテッド代表。著作に、「平成監獄面会記」、同書が塚原洋一氏によりコミカライズされた「マンガ 『獄中面会物語』」(共に笠倉出版社)など。

1998年和歌山カレー事件 元目撃証人Aさん(当時16歳)が明かす「知られざる25年」

公開日: 更新日:

自身も逮捕、暴力団入り…

 では、林死刑囚の裁判に出なかったのはなぜか。

「取材の人が店にめっちゃ来て、迷惑がかかるんで店を辞めたら、超はじけ倒してね。遊び回るうち、事件を起こして逮捕されたんや。そしたら検察が『裁判は出なくていいです』と言ってきたわけや」

 実はAさん、中学の頃から素行が悪く、何度も警察の世話になっていた。検察はAさんの経歴が不利にはたらく可能性を懸念し、裁判に呼ばなかったのかもしれない。

 その後、Aさんは暴力団に入ったが、少年時代からの友人に「ヤクザをやめんと、付き合いをやめるぞ」と言われて堅気に。現在はその友人が営む会社で真面目に働いている。

 だが、カレー事件との関わりは最近まで続いた。4年前、林死刑囚が「事実無根の目撃内容を言いふらされた」と損害賠償1000万円を求めて提訴してきたのだ。弁護士に相談して勝訴したが、警察は助けてくれず、「二度と捜査協力なんかせん」と思ったという。

 林死刑囚の冤罪説はAさんも知っていた。筆者もAさんが林死刑囚を目撃した際、彼女が本当に手に紙コップを持っていたのか疑問に感じていたので、その点を確認したが、Aさんはクールにこう言った。

「俺は記憶通りに話しただけやから。林真須美が犯人であろうがなかろうが、どっちでもええよ」

 事件はどんな結末を迎えるだろうか。

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「実際のところ二刀流を勧める立場でもなければ、考えたことも、その発想すらなかった」

    「実際のところ二刀流を勧める立場でもなければ、考えたことも、その発想すらなかった」

  2. 2
    入団直後から“普通でなかった”思考回路…完封を褒めても「何かありましたか?」の表情だった

    入団直後から“普通でなかった”思考回路…完封を褒めても「何かありましたか?」の表情だった

  3. 3
    “懲罰二軍落ち”阪神・佐藤輝明に「藤浪化」の危険すぎる兆候…今が飛躍か凋落かの分水嶺

    “懲罰二軍落ち”阪神・佐藤輝明に「藤浪化」の危険すぎる兆候…今が飛躍か凋落かの分水嶺

  4. 4
    「結婚はまったく予想していませんでした。野球をやっている間はしないと思っていた」

    「結婚はまったく予想していませんでした。野球をやっている間はしないと思っていた」

  5. 5
    「銀河英雄伝説」大ヒットの田中芳樹さんは71歳 執筆47年で120~130冊…どのくらい稼いだの?

    「銀河英雄伝説」大ヒットの田中芳樹さんは71歳 執筆47年で120~130冊…どのくらい稼いだの?

  1. 6
    《あの方のこと?》ラルクhydeの「太っていくロックアーティストになりたくない」発言が物議

    《あの方のこと?》ラルクhydeの「太っていくロックアーティストになりたくない」発言が物議

  2. 7
    GLAYのTERU“ホテル不満ツイート”が物議…ツアー最終日「気持ちが上がらない」にファン失望

    GLAYのTERU“ホテル不満ツイート”が物議…ツアー最終日「気持ちが上がらない」にファン失望

  3. 8
    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

  4. 9
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10
    小池百合子都知事の“元側近”小島敏郎氏が激白! 2020年都知事選直前に告げられた「衝撃の言葉」

    小池百合子都知事の“元側近”小島敏郎氏が激白! 2020年都知事選直前に告げられた「衝撃の言葉」