山田隆道
著者のコラム一覧
山田隆道作家

1976年、大阪生まれ。早大卒。「虎がにじんだ夕暮れ」などの小説を執筆する他、プロ野球ファンが高じて「粘着!プロ野球むしかえしニュース」などの野球関連本も多数上梓。各種スポーツ番組のコメンテーターとしても活躍中。

高校球児の気持ちを尊重するのはプレーヤーズファーストか

公開日: 更新日:

 その昔、プロ格闘技の仕事に少し関わったことがある。普段の私は「作家」という大ざっぱかつ大層な肩書を羞恥に耐えつつ使用しているが、それはもちろん便宜上のことである。その内実は小説家、エッセイスト(雑文書き)、放送作家、脚本家、漫画原作者など、いろいろあり過ぎてうさんくさくなるから簡略化しているわけで、とにかく何が言いたいかというと、そんな雑多の仕事の中には某格闘家のブレーン的なものもあったのです。

 当時、よく覚えているのが、その選手に危険な試合のオファーがあった時のことだ。私は素人なりに「体重差がある」「ケガをしている」などの理由でオファーを断るべきだと意見したのだが、その選手は「やりたい」の一点張りで、さらにはトレーナーなど周囲の玄人まで「選手がやりたいなら、やらせるべきだ」「選手の気持ちは選手経験者じゃないとわからない」と言って後押しした。

 この時、私は違和感を覚えた。選手の気持ちを優先するだけなら、そもそも選手サイドの他人はなんのためにいるのだろう。選手は人生を懸けて競技に熱中しているのだから、時として視野狭窄に陥ることは十分に考えられる。だから、そんな異常時に選手の健康面などを考えて的確な判断を促せる赤の他人は必要で、その他人は選手の気持ちとは別の見地に立たなくてはならない。選手の気持ち、これは時に自殺行為もいとわない危険な感情論になってしまう。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  2. 2
    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った

    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った会員限定記事

  3. 3
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  4. 4
    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

  5. 5
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

  4. 9
    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた

    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた会員限定記事

  5. 10
    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」

    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」