黒江透修氏が野村克也氏を追悼 92年日本シリーズの教訓

公開日: 更新日:

 野村克也さんがヤクルトの監督として初めて日本シリーズに出場したのは1992年。私がヘッドコーチだった西武との対戦だった。3連覇を狙う西武の森祇晶監督と野村さんは、高卒で同じ捕手出身。苦労してプロ野球選手になった境遇も似ていることから、プライベートでは仲が良かった。

 ところが、頂上決戦を前に、冷静沈着な森監督がいつもと違う。野村さんに負けたくないという意識が強く、いつもなら「クロ、やっておいてくれ」という簡単なミーティングなども陣頭指揮をとった。

 野村さんも1学年後輩の森さんへのライバル心は旺盛で、野球を知り尽くす2人のベンチワークは大いに注目された。西武が王手をかけた後の第5戦からの3試合は延長戦となり、球史に残る熱戦となった。延長十回、西武は秋山の犠飛で2-1と勝ち越し、これが西武の決勝点となり3連覇を成し遂げた。

 今は当たり前のように球界で使われている「ギャンブルスタート」は、実はこの試合がきかっけで野村さんが考案したものだ。

 確か七回裏のヤクルトの攻撃だったと思う。一死満塁で野村さんは代打に杉浦を起用。その打球を二塁手の辻が好捕し、三塁走者広沢を封殺した。広沢は杉浦のライナーを気にしてスタートが遅れて本塁に帰れなかった。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾