プロ3年目に先発転向した山本由伸の内に秘める“芯の強さ”
監督たるもの、結果に対する責任を負わなければいけない。ロッテ監督時は2010年に日本一になったものの、3年目は5位。その年限りで退任した。勝てば選手の頑張り、負ければ監督の責任。その信念は19年にオリックスの監督になったときも、同じだった。
成績不振により、20年シーズン途中でユニホームを脱がざるを得なくなったことは、選手やファンに申し訳ない気持ちでいっぱいだ。本来なら、最後まで監督の職務を全うしたかった。辞任直前の8月、選手の前で「試合は半分以上残っている。まだまだチャンスはある。この状況をみんなで乗り越えていこう」と、声をかけていた。選手時代のスイッチ転向をはじめ、性格的にも物事を途中で投げ出すのは私の性分ではない。私一人だけが途中でチームを離れることは非常に歯がゆく、忸怩たる思いが強かった。
オリックスにはヘッドコーチ時代を含めた4年半、お世話になった。気になる選手はたくさんいる。その一人がここ数年、大きな飛躍を遂げている山本由伸だ。
山本は地元岡山から私の故郷である宮崎の都城高に進学したこともあり、2016年のドラフト4位で入団した当初から身近に感じていた。何げなく宮崎の話をしていても、高校を出たばかりとは思えないくらい、受け答えがしっかりできる。