検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(213)実名調書朗読事件で特捜部はさらに窮地に
この政治家実名調書朗読で、検察部内での特捜部の立場は厳しくなった。特捜部長の五十嵐紀男と副部長の佐渡賢一には罰点がついた。 朗読したのは公判部だったが、特捜部の起訴した事件で証拠請求も特捜部…
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【東京佐川急便事件】異聞(212)吉永特捜部長時代の摘発事件でも実名調書騒ぎ
裏付けのない政治家の実名調書が問題になったのは、東京佐川急便事件だけではなかった。東京佐川事件捜査を特捜部長として指揮した五十嵐紀男自身、1979年に特捜部が摘発した建設会社フジタ工業(現フジタ)幹…
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【東京佐川急便事件】異聞(211)特捜部と公判部の分業システムのエアポケットが生んだミス?
検察が摘発した事件の証拠請求・開示ルールはどうなっていたのか。五十嵐に説明してもらう。ちょっと専門的になるが、お付き合い願いたい。(太字は「法と経済のジャーナル」から引用) 検察の決裁システ…
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【東京佐川急便事件】異聞(210)特捜部長は刑事局よりも副部長の「怠慢」を責めた
裏付けのない政治家実名調書を裁判所に提出してしまった検察。その責任の一端は法務省刑事局にもあったとする元特捜部副部長の佐渡賢一に対し、特捜部長だった五十嵐紀男は反論する(太字は「法と経済のジャーナル…
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【東京佐川急便事件】異聞(209)「法務省刑事局は要旨通知で済ませる折衝も承知していた」
実名調書掲出の経緯を著者に語った元東京地検特捜部副部長の佐渡賢一の話はつづく(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 (日本皇民党の)O総裁の供述したことがすべて真実として証拠申請した…
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【東京佐川急便事件】異聞(208)「公判立証方針には法務省刑事局が関与。独断専行したことはない」
ちなみに、東京佐川急便事件では、1992年9月初め、検察側から被告・弁護側に開示された東京佐川元社長、渡辺広康らの供述調書について「写しが永田町に出回っている」とのうわさが広がった。それらを入手した…
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【東京佐川急便事件】異聞(207)実名調書を朗読させた裁判長は「スタンドプレー」批判を受けた
政治家の実名調書朗読問題で検察側は対外的には非を認めて謝罪した。しかし、部内では「裁判長のスタンドプレー」批判が渦巻いていた。東京地裁裁判長の小出錞一が、証拠調べが済み普通は改めて朗読の必要性がない…
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【東京佐川急便事件】異聞(206)「確実に有罪を得たいと張り切りすぎたというのが本当のところ」
東京佐川急便事件の捜査を取り仕切った特捜部長の五十嵐紀男は、問題の実名調書が裁判所に提出されていたことをまったく知らなかったと筆者の取材に答えた。 五十嵐は担当副部長の佐渡賢一と主任検事の大…
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【東京佐川急便事件】異聞(205)特捜部長は実名調書の証拠提出を知らなかった
結局、首相の宮沢喜一の判断で、自民党は検察に対する告訴を見送った。 しかし、自民党側は執拗にこの問題を国会で追及した。 内閣改造で新たに法相に就任した後藤田正晴は翌93年3月11日の…
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【東京佐川急便事件】異聞(204)最高検検事・石川達紘は官邸側にアドバイスした
検察を告訴すると息巻く政権与党の自民党に、政府機関である法務・検察を抱える宮沢政権は困った。そのとき、政権側に「告訴はしない方がいい」とアドバイスした検事がいた。当時、最高検検事だった石川達紘である…
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【東京佐川急便事件】異聞(203)検察だけが袋叩きにされるおかしな展開
皇民党調書の朗読事件をめぐって国会でも法務・検察を激しく責め立てる自民党。 検察側で政府委員として毎回、答弁に立ち、時には立ち往生したのは法務省刑事局長の濱邦久だった。 調書を証拠申…
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【東京佐川急便事件】異聞(202)当時の自民党幹事長、綿貫民輔が担当検事を告訴すると表明
日本皇民党総裁の供述調書で実名を公表された政治家や自民党はここぞとばかり検察を責め立てた。 自民党幹事長の綿貫民輔は「伝聞に基づく検事調書であり、人権の上で極めて問題だ」などとして、国会の裁…
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【東京佐川急便事件】異聞(201)皇民党との接触を認めた政治家もいたが…
法廷で朗読されてしまった日本皇民党総裁のOの実名供述調書。名前を挙げられた自民党の政治家たちはどう反応したか。 朝日新聞によると、金丸信の次男で秘書の信吾は、電話取材に対し「全くの事実無根。…
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【東京佐川急便事件】異聞(200)金丸信の代理人が「30億円で手を引いてくれ」と
東京地裁の法廷で朗読された日本皇民党総裁のOの供述調書。自民党の7人の政治家の実名が飛び出し、傍聴席はどよめいた。 Oの供述が事実なら、金丸信による稲川会会長の石井進へのほめ殺し封じ依頼に続…
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【東京佐川急便事件】異聞(199)金丸信への罰金刑で厳しい批判を受けた特捜部の「惨事」は続く
金丸信に対する取り調べ抜き上申書での罰金処理で厳しい世論の批判を受けた東京地検特捜部。悪いことは続く。今度は「ミス」だ。東京佐川急便元社長、渡辺広康らに対する特別背任事件の公判に本来は開示すべきでな…
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【東京佐川急便事件】異聞(198)無理してでも立件し法整備を整えようと考えた
東京佐川急便事件摘発当時、政治権力の実権は、政府から政党に移っていた。政界のドン、金丸信がその象徴だった。 その世界では、職務権限を認定できない「生の政治力」と趣旨のはっきりしない「生のカネ…
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【東京佐川急便事件】異聞(197)捜査環境の変化で贈収賄捜査は次第に困難に
時代は移り、世の中は変わった。特捜検察の政界汚職摘発はますます難しくなる。 贈収賄立件のカギは贈賄側など関係者からの自白獲得にある。それが簡単に取れなくなってきたのだ。日本社会に根強かった「…
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【東京佐川急便事件】異聞(196)検察の十八番は贈収賄罪摘発…政治資金規正法はほこりまみれ
特捜検察が「巨悪」に迫り切れなかったのは、検察側が政治に忖度したわけではない。捜査構造と捜査モデルに原因があったと筆者は考えている。 特捜検察には、検察権行使の長い歴史の中で練り上げた捜査の…
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【東京佐川急便事件】異聞(195)法の不備を指摘し改正を促す狙い。それはあえなくついえた
1992年9月28日、東京地検特捜部は、東京佐川急便から5億円もらった金丸信に対する20万円の罰金処分、1億円もらった新潟県知事の金子清に対する公判請求処分を同時に行い、発表した。 特捜部長…
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【東京佐川急便事件】異聞(194)知事は有罪。佐川マネー3億円のうち残り2億円は未解明
金丸信の5億円闇献金事件と同時処分となった元新潟県知事・金子清の政治資金規正法違反に対する東京地検特捜部の捜査の話を続ける。 特捜部の捜査記録によると、特捜部は新潟地検に検事を派遣し1992…