検察vs政界 経済事件記者の検証記
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【東京佐川急便事件】異聞(161)「今さら、そんなこと言われても。供述は真実・真相と確信」
金丸信の金庫番秘書、生原正久から、東京佐川元社長、渡辺広康が運んできた5億円闇献金を「親父の指示で受け取った」との、金丸本人の帰属に結び付く供述調書を取った特捜部。だが、その後は生原の抵抗に手を焼く…
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【東京佐川急便事件】異聞(160)検察は「親父の指示があった」という生原供述だけが頼り
金丸信の金庫番秘書、生原正久の話は続く(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 (東京佐川元社長の)渡辺(広康)さんからカネを持って行く、との電話があって、確かに親父の耳には入れたが、あく…
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【東京佐川事件】異聞(159)生原秘書は「親父を罪人にする? 冗談じゃない」と強く抗議した
金丸信の金庫番秘書、生原正久の供述で、5億円の授受の時期は「90年1月中旬」で確定。3年の時効が完成していないことは固まった。また、「寄付が金丸本人に帰属する」蓋然性も強くなった。 金丸本…
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【東京佐川急便事件】異聞(158)生原秘書の話した内容が検察からマスコミに漏れている
とはいえ、金丸信の金庫番秘書、生原正久が言う通り、5億円授受の時期が1989年9月か10月であったとしても、検察が容疑を認知した92年8月27日の時点では、金丸の寄付の量的制限違反はまだ3年の時効は…
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【東京佐川急便事件】異聞(157)「東京佐川元社長が1人で5億円を運んできたという供述もウソ」
金丸信の金庫番秘書の生原正久は、5億円闇献金について時期だけでなく、東京佐川元社長の渡辺広康からの受け渡しの場面も、供述調書は事実に反すると語る(太字は「法と経済のジャーナル」から引用)。 …
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【東京佐川急便事件】異聞(156)生原秘書が特捜部に「事実と異なる」供述をした理由
金丸信の金庫番秘書、生原正久は筆者の取材に「調書の内容は作りあわせ。実際の5億円の授受の時期が違う」と語った。事実なら、金丸有罪の根拠となった生原の供述調書の信用性に疑問符がつく。生原は、なぜ記憶と…
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【東京佐川急便事件】異聞(155)金庫番秘書が取り調べ状況を語る
金丸信の金庫番秘書だった生原正久は筆者の取材に応じ、特捜部の取り調べ状況をつぶさに語った。2011年のインタビューでの生原証言メモは、いま読み返してみても生々しく興味深い。(太字は「法と経済のジャー…
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【東京佐川急便事件】異聞(154)5億円の原資、授受の時期とも当初の見立ては崩れた
金丸信の金庫番秘書、生原正久の1992年9月6日付供述調書で5億円闇献金の時期や受領状況を把握した特捜部。捜査は、金の出元の東京佐川元社長、渡辺広康に向かう。 捜査記録によると、渡辺は同じ9…
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【東京佐川急便事件】異聞(153)金丸の金庫番秘書は会見ベースで正直にしゃべった
特捜部の捜査は、先に触れたように新潟県知事の金子清の政治資金規正法違反事件と金丸信の5億円闇献金事件を同時並行で行った。先行したのは金子事件だった。 特捜部各検事の「捜査結果・予定表」に…
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【東京佐川急便事件】異聞(152)「微罪だから事件にならんと歪曲して流された。裏切られた」
金丸信の5億円闇献金事件について、法務事務次官の根来泰周は本当に「立ち小便のようなもの。特捜部がやりっこない」と言ったのだろうか。 筆者は根来本人に確認した。闇献金事件処理から1年7カ月後の…
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【東京佐川急便事件】異聞(151)真偽不明の法務事務次官発言にも神経をとがらせた検察現場とマスコミ
金丸信の5億円闇献金事件に対する東京地検特捜部の捜査に話を移す。 捜査記録によると、特捜部が金丸側への捜査に着手するのは1992年9月5日。金丸が先行自白した8月27日から9日後だ。結構時間…
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【東京佐川急便事件】異聞(150)小沢は「刑事罰ではなく行政罰にできないか」と官房長官に相談
東京地検特捜部の動きを知り、官邸に金丸立件阻止を働きかける小沢一郎。その様子を、2019年6月24日の日経新聞「私の履歴書」で、当時の内閣官房副長官、石原信雄はこう語っている。 「政治資金規正…
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【東京佐川急便事件】異聞(149)「先行自白しても、検察は金丸本人の立件はしない」と確信か?
派閥会長の金丸信にかわいがられ、5億円闇献金報道の対応も任されていた小沢一郎。東京佐川急便元社長の弁護人は「沈黙すれば収まる」とのニュアンスを伝えた、と思っていたという。なのに、なぜ、金丸が闇献金を…
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【東京佐川急便事件】異聞(148)金丸自白会見後、小沢一郎から感謝された渡辺元社長の弁護人
「反小沢」で知られる野中広務が著書「私は闘う」で主張したように、本当に小沢一郎は、金丸信を罠にはめて、失脚と派閥乗っ取りを謀ったのだろうか。 5億円闇献金事件のもう一人の「当事者」である渡辺広…
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【東京佐川急便事件】異聞(147)「クーデターやな」と直感した野中広務によぎった謀略説
意に反して訴追され、議員辞職や派閥分裂にまで発展した金丸信の5億円闇献金受領の記者会見。永田町的権力観でいえば、金丸や小沢の選択はおそらく誤りだったのだろう。竹下派内で「反小沢」を旗幟鮮明にしてきた…
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【東京佐川急便事件】異聞(146)罰金刑を受けた金丸は議員辞職、竹下派は分裂
朝日新聞が「金丸前副総裁を立件へ 本人の出頭を打診 東京地検」と1面で打ったのは1992年9月9日の朝刊だ。読売も同日夕刊で「佐川急便5億円献金 金丸前副総裁立件へ 授受は(平成)2年1月 量的制限…
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【東京佐川急便事件】異聞(145)「捜査を呼び込んだ」と派内で指弾され、苦境に立つ小沢一郎
派閥会長の金丸信に「何があっても軽々に動くな」と言い残してヨーロッパ視察旅行に飛び立った梶山静六が帰国するのは9月3日。手遅れだった。 特捜部が金丸秘書の生原正久の任意聴取に乗り出すのはその…
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【東京佐川急便事件】異聞(144)特捜部を警戒する梶山静六は外遊で不在にした
マスコミの報道も、金丸信、小沢一郎ら政界側の判断に影響したかもしれない。 8月22日に朝日新聞やNHKが5億円闇献金報道をして以降、両社を含めたマスコミ報道は、おおむね、闇献金を政界のドンの…
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【東京佐川急便事件】異聞(143)「先行自白」しながら金丸、小沢らは“一件落着”と考えた
事件記者の立場からすると、金丸信本人が5億円闇献金の受領を認め、しかも、受領の時期を、時効が完成していない1990年初めと告白すれば、捜査陣が政治家本人の寄付の量的制限違反の「先行自白」と受け止め、…
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【東京佐川急便事件】異聞(142)小沢の報告を受けた金丸は「もう認めざるをえない」と決意
小沢一郎は、東京佐川元社長、渡辺広康の弁護人、赤松幸夫との「さし」の会談後、金丸信にその内容を報告した。それを機に、金丸は「認めざるをえない」と覚悟を決め、「先行自白」会見に向け、動き出す。金丸の秘…