佐高信「この5冊で政治の危うさが見えてくる」

公開日: 更新日:

■「天人」後藤正治著

 たとえば猪瀬直樹や沢木耕太郎のように三島由紀夫にひかれる人間は私の肌に合わない。それは「朝日新聞」のコラム「天声人語」(略して「天人」)の筆者として知られる深代惇郎も同じだったようで、1970年11月25日に三島が市谷の自衛隊駐屯地に乗り込んで割腹自殺した時、翌日の社説にこう書いた。

「彼の政治哲学には、天皇や貴族はあっても、民衆はいない。彼の暴力是認には、民主主義の理念とは到底あいいれぬごう慢な精神がある。民衆は、彼の自己顕示欲のための小道具ではない」

 骨の髄からのリベラリストである深代にとって、民衆の生活をバカにしたような三島のエリート意識は許し難いものだったのだろう。

 保守と反動、あるいは保守と右翼は違う。「朝日」の主筆だった若宮は、丹念に知恵ある保守の系譜をたどる。

「バカな大将、敵より怖い」と、見識ある経営者が喝破した。これは現在のこの国の首相を指して言ったのではないが、まさに安倍晋三にこそピッタリ当てはまる指摘である。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    広陵・中井監督が語っていた「部員は全員家族」…今となっては“ブーメラン”な指導方針と哲学の数々

  2. 2

    11歳差、バイセクシュアルを公言…二階堂ふみがカズレーザーにベタ惚れした理由

  3. 3

    中居正広氏は法廷バトルか、泣き寝入りか…「どちらも地獄」の“袋小路生活”と今後

  4. 4

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  5. 5

    二階堂ふみと電撃婚したカズレーザーの超個性派言行録…「頑張らない」をモットーに年間200冊を読破

  1. 6

    開星(島根)野々村直通監督「グラウンドで倒れたら本望?そういうのはない。子供にも失礼ですから」

  2. 7

    最速158キロ健大高崎・石垣元気を独占直撃!「最も関心があるプロ球団はどこですか?」

  3. 8

    風間俊介の“きゅるるん瞳”、庄司浩平人気もうなぎ上り!《BL苦手》も虜にするテレ東深夜ドラマの“沼り力”

  4. 9

    前代未聞! 広陵途中辞退の根底に「甲子園至上主義」…それを助長するNHK、朝日、毎日の罪

  5. 10

    山下美夢有が「素人ゴルファー」の父親の教えでメジャータイトルを取れたワケ