民主化後初の大統領罷免となった朴槿恵政権。その裏面と韓国政治の実相をさぐる。

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「朴槿恵 心を操られた大統領」金香清著

 父・朴正熙大統領の暗殺事件以来、他人をいっさい信じなくなったといわれる朴槿恵。しかし唯一、心を打ち明ける存在だったのが、今回の大統領罷免の原因をつくったといわれる側近・崔順実。実はその父・太敏は新興宗教の開祖で、まだ20代の朴槿恵と出会っている。つまり「崔順実ゲート事件」は、親子2代にわたって朴槿恵を洗脳し続けた結果だったというわけだ。

 本書は崔ファミリーに近い多数の関係者への直接取材を重ねたジャーナリストによる真相究明ルポ。父の暗殺未遂事件に巻き込まれて母を亡くした後、父のファーストレディー役をつとめながら特殊な人間関係ばかりを見続けてきた朴槿恵の心の闇をさぐっている。大統領官邸の料理人すら会ったことがほとんどなく、食事はひっそりと一人で取るのが習わしだった朴槿恵。他方で青瓦台(韓国大統領官邸)はバイアグラやプラセンタを大量に購入しており、政権に危機の火ダネをまいた「セウォル号」事件のときも実は美容注射を打っていたとされる。(文藝春秋 1350円+税)

「朴槿恵と亡国の民」シンシアリー著

「韓国人による恥韓論」など、韓国人でありながら徹底した反・反日論者として知られた著者の最新刊。本職は40代の歯科医師で、日本移住の準備中だ。

 今回は「善と悪」「勝者と敗者」「上と下」と、すべてを二分して敵味方にはっきり区別したがる韓国人の国民性にもふみこんだ批判を展開する。相手の正義を踏みつぶすことが自分の正義の証明になるという極端な発想こそ、ウリ(仲間)かナム(他人)のどちらかしかなかった朴槿恵を弾劾に追いやった真因である。(扶桑社 1400円+税)

「文在寅とは何者か」澤田克己著

 朴槿恵の罷免騒動の最中、韓国人からもっともよく聞かれた言葉は「恥ずかしい」だった。民主化から30年にもなるのに、大統領による政権運営は依然として権威主義の色彩を帯びていたこと、さらに専門家でもない崔順実が国政介入していたことで国民が激高したのだが、その背景には「政治に携わるものは知性と徳を兼ね備えた人物」という儒教的価値観があるからだという。

 毎日新聞前ソウル支局長の著者が、韓国現代史を踏まえながら歴代大統領の実像に迫る。(祥伝社 1500円+税)

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