「真実の航跡」伊東潤著

公開日: 更新日:

 昭和22年6月、大阪弁護士会所属の鮫島らは、復員庁の依頼を受け、香港に向かう。英軍管轄下で行われる戦犯裁判の被告人弁護を務めるためだ。鮫島と先輩の河合は「ダートマス・ケース」の担当を命じられる。

 記録を読むと、昭和19年、インド洋上で日本軍の航空巡洋艦「久慈」が輸送船「ダートマス号」を撃沈。その際に捕虜にした69人のイギリス人とインド人を殺害した容疑で、久慈の乾艦長と作戦を指揮した第十六戦隊司令官の五十嵐海軍中将が起訴されていた。

 記録では乾艦長は司令部の指示を待たずに拿捕(だほ)が目的だった輸送船を独断で撃沈。鮫島は、洋上で救出した捕虜をジャワ島に連れ帰った後、何が起きたのか接見した五十嵐に聞き出す。

 戦犯裁判を舞台に描く歴史長編。

(集英社 880円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「高校生を指名するのが怖くなった」…プロ球団ベテランスカウトが漏らす苦悩と本音

  2. 2

    自民・高市一派は衆院選28敗に終わる…全国サナエ行脚も虚しく「石破おろし」ご破算の目

  3. 3

    《中日》1位指名した金丸夢斗をパ全球団が“完全スルー”した裏に「カラダの問題」

  4. 4

    育成契約は嫌だった?ドラフトで名のある高校球児が軒並み指名漏れのカラクリ

  5. 5

    小泉進次郎氏サッサと選対委員長辞任…「すべて私が責任取る」で“泥舟からの逃亡”が真意

  1. 6

    岩井姉妹ワンツーフィニッシュでも「客離れ」に拍車…今季33試合のうち20試合がギャラリー減

  2. 7

    デーブ大久保さん(2)長嶋監督に「大洗を買いなさい」と勧められ「ゴルフ場も買えるんですね」と返したら…会員限定記事

  3. 8

    油を取ってスルスルやせる「MCTオイルダイエット」…実践した医師は2カ月で6キロ減

  4. 9

    阿部詩は大号泣、斉藤立も憔悴…ニッポン柔道大苦戦を招いた「全柔連の罪」

  5. 10

    RADWINPS野田洋次郎に“泥酔飲み会”報道 ファンも失望させた表現者としての「ダサさ」