「家事か地獄か」稲垣えみ子著

公開日: 更新日:

「家事か地獄か」稲垣えみ子著

 50歳のとき、これといった仕事のあてもないまま大企業を辞めた著者。豪華マンションから収納ゼロ、狭小キッチンのワンルームに引っ越したものの、待ち受けるのは「ヒマはあるけどカネはない」生活か……と恐れる著者を救ったのは家事だったという。

 掃除洗濯ができれば身の回りはすっきり。それだけで給料は振り込まれずとも、おいしいものを食べ、片付いた部屋で快適に暮らせた。何より時間に余裕ができ、仕事も趣味も十分楽しめる。著者は、これこそが「豊かな生活」と開眼。お金を稼ぐためには家事時間など無駄と思っていたが、実はまったく逆だったのだ。

 アフロヘアでお馴染みの著者の最新刊。決して得意でなかった家事だが、モノを減らしてラク家事生活になった途端、老後の不安が消えたというから面白い。自分で自分の面倒を見られる自信が、やがて訪れる老いや死も「自分の手に負えるもの」に思えるのだという。

 ラク家事の秘訣3原則、災害やインフレにも対応可能の万能性、そして著者自身の極ラク家事生活まで。人生100年時代を生き抜く唯一の武器「家事力」の意外な効能の数々に、驚くこと間違いなしだ。

(マガジンハウス 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

    大谷2戦連続6号弾 先輩の雄星も驚く「鈍感力」発揮!名門球団の重圧や水原問題もどこ吹く風

  3. 3
    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

    長渕剛が誹謗中傷に《具合が悪い》と告白…《話があるなら、来てほしい》と性被害告発の元女優に呼びかけ

  4. 4
    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

    松本人志に文春と和解の噂も、振り上げた拳は下ろせるか? 告発女性の素性がSNSで暴露され…

  5. 5
    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

    松本人志“性的トラブル報道”へのコメント 優木まおみが称賛され、指原莉乃が叩かれるワケ

  1. 6
    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

    広末涼子“不倫ラブレター”の「きもちくしてくれて」がヤリ玉に…《一応早稲田だよな?》

  2. 7
    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

    佐々木朗希にメジャー球団は前のめりも…ロッテ首脳陣が依然として計算できない脆弱ボディー

  3. 8
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  4. 9
    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

    阪神・岡田監督ようやく取材解禁の舞台裏 もう怖いものなし?今後の報道に忖度生じる可能性

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異