(15)薄く開いた眼で虚空を眺める
「堕胎は危険だって、美登里さんが──」
ややあって、母親が虚ろに呟いた。
お利久がこちらを見返り、眼差しを強くする。美登里とそっくりな、小さな目だ。それでも鋭く、突き刺さってくる。
「アンタが産むよう勧めたのかい。アタシになんの相談もなく?」
お千代…
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