大ヒット 吉永小百合が「母と暮らせば」で見せた渾身演技

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「疲れた」と何遍も言い、思わず横たわる。そこにはこれまで年をとってもきれいな容貌を誇ってきた女性の姿はない。まるで死者のように眠った彼女の顔を横から撮ったシーンなど、思わずゾッとするほどだ。

 幻想でも、息子と会えた母がどんどん弱っていくのはなぜか。映画を見ればそれがわかる。息子をひたすら思う母の感情が一つの手がかりとなろう。

 吉永小百合という女優が“松竹マーク”の本作のなかで、田中絹代にも原節子にも見えてくる瞬間があった。女優とはなんとも凄いものである。
(映画ジャーナリスト・大高宏雄)

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