最も一緒に飲んで一緒に遊んだ 山城新伍は愛すべきダチ公
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俺がこの世界に入り、一緒に飲み、一緒に遊んだ機会が一番多かったのは、やっぱり山城新伍だろうな。古い言葉でいえば、愛すべきダチ公であり、盟友だったということだよ。実はあいつとはこんな笑い話がある。
ある新人女優が本名を芸名にしてたんだけど、それがどうにもこうにもやぼったくてさ。彼女の映画を撮ることになった監督に頼まれたんだ。
「辰ちゃん、なんか、いい名前を考えてよ」
それで俺も、3日間、真剣に考えたわけさ。でも、考えた末に思いついたのは、当時、俺が一番気に入っていた銀座のホステスの源氏名だった(笑い)。名前が決まると、すぐにその女優が俺の前に現れたよ。
「このたびはありがとうございました。母が梅宮さんにお礼をするように言ってるんですが」
「何もいらないよ」
「でも、何かお礼しないと、母に怒られます」
「じゃあ、1回だけ、ヤラせろよ」