田中幾太郎
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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

「エール」音の妹と裕一の弟子が急接近…「露営の歌」秘話

公開日: 更新日:

 ちょうどそのころ、古関は妻・金子と行った満州旅行を終え、大連から船で神戸に戻る途中だった。所属する日本コロムビアから、神戸まで行かないで、門司で下船して、下関から汽車の特急に乗って、できる限り早く東京に来てほしいとの電報を受け取る。

■汽車の中で何の気なしにつけた曲が大ヒット

 古関は門司から下関にフェリーで渡り、東京日日新聞を広げると、懸賞募集の結果が載っていた。そこで古関の目を引いたのが第1位の「進軍の歌」ではなく、「勝って来るぞと勇ましく」と始まる第2位の「露営の歌」だった。東京行きの汽車の中で、古関は何の気なしにそれに曲をつけ、金子と2人で合唱した。

 東京に着くと、古関はすぐにコロムビアに駆けつけた。ディレクターは「進軍の歌はすでに陸軍戸山学校軍楽隊が作曲しているので、露営の歌に曲をつけてほしい」という。古関が「もうできています」と答えると、ディレクターは大喜び。試聴すると、出来がものすごく良く、すぐに採用が決まり、「進軍の歌」をA面、「露営の歌」をB面とするレコードが発売された。

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