アキラ100%さん 椎名桔平さん元運転手として絡みの芝居を

公開日: 更新日:

 股間をお盆で隠すネタで2017年に「R―1ぐらんぷり」でピン芸人ナンバーワンに輝き、ブレークしたアキラ100%さん(46)。ここ数年は本名の大橋彰で役者として活動もしているが、実は若い頃は俳優志望だったという。分岐点となった映画出演の話と併せて語ってくれた夢は、運転手を務めていたあの俳優との共演&絡み、さらに役者&お笑いでダブル受賞も狙っている!?

  ◇  ◇  ◇

 お笑いを始める前は役者を目指していたんです。高校の時に演劇部に入って、野田秀樹さんの「夢の遊眠社」や鴻上尚史さんの「第三舞台」を見て、「舞台俳優になれたらいいなぁ」とボンヤリとした夢を抱いていました。

 大学を出てすぐの頃、根津甚八さんらが所属する俳優事務所のオーディションを受けたら、「君、面白そうだから、役者の勉強しながら事務所のお手伝いしてみない?」と事務所の方に誘っていただき、半年ほど雑用とかしてました。ちょうど事務所所属の椎名桔平さんの運転手が辞められた時期で、2カ月くらい運転手もしてました。

 20代には役者の養成所に入って舞台に出たり。といっても、キャパが100人とかの小劇場で、チケットノルマのある芝居だから、ギャラをいただいて出たことは一度もなかった。当時の自分には劇団をつくるパワーも実力もまったくありませんでした。

■役者を諦め30歳でお笑いを始めて13年

 何ひとつ結果が出せないまま役者は諦め、もうひとつ好きだったお笑いを30歳で始め、そこから「R―1ぐらんぷり2017」で優勝するまで13年ほどかかりました。優勝直後は俳優の仕事も入りましたが、お盆を持って登場する飲食店の店員役とか、僕のお盆芸に引っかけた、ちょっと面白いシーンが多かった。

 転機となったのが「ゆらり」(17年)という映画。横尾初喜監督は僕が若い頃に出演した舞台を見て「面白い役者だな」と思ってくれたようなのです。時を経て「R―1」での僕の裸の芸をテレビで見て、「あの舞台のあの人だ!」と。それで「ゆらり」に起用してくれました。「芸名に違和感があるので大橋彰でいいですか」と名前を本名でと提案してくれたのも監督。

 撮影は緊張しました! 周りにスタッフがいっぱいいるところで、「はい、スタート!」と言われてお芝居して、メチャクチャ汗だくになりました。

 もっと緊張したのが同じく横尾監督の「こはく」(19年)。主演の井浦新さんの兄役で、2作目で大きい役をいただけるのは本当にありがたいこと。初めて台本を読んだ時、マネジャーに「せりふ、多過ぎだけど、これ本当に俺の役?」って確認しました(笑い)。

 僕の実力以上の役ですし、しかも、長崎の方言です。僕は埼玉生まれなのでまったくわからなくて。井浦さんは長崎出身の監督からイントネーションを教わることが多かったようなのですが、僕は方言指導の60代か70歳くらいの方に教わって撮影にのぞんだら、監督から「彰さんだけ、おじいさんのしゃべり方だ」とNGが。ずっと「俺、大丈夫かな、大丈夫かな」と緊張の連続。心配ばかりしてました。

俳優でも賞をもらうとR-1とダブル受賞?

 見てくれた方からは好評なのですが、ネット上で多いのは「アキラ100%に似てる俳優がいる」なんです。僕のネタは裸だけど、当たり前ですが、映画では服を着てますから。それとネタ中はみんな僕の顔ではなくお盆と股間を見てるから僕の顔をあまり覚えていない(笑い)。

 名前も大橋彰ですからドラマや映画に出ると僕と気づかれないんです。後から「あの役、アキラ100%だったんだ!」と気づかれます。

 昨年、ドラマ「トップナイフ―天才脳外科医の条件―」(日本テレビ系)で医者のひとりをやらせていただいた時は、椎名桔平さんが出演されていて、楽屋に挨拶に行きました。

 二十数年前に2カ月だけ運転手してただけですから、覚えてるわけないですが、「君がいたような気もするけど、ちょっと記憶にないなぁ。でも役者を諦めないでよかったな」と言ってくださいました。

 不安ながらも「俳優は楽しいな」と感じながらやっています。役作りも面白い。僕は根津甚八さん、小林薫さん、そして椎名桔平さんのような渋くて男の魅力がある俳優を目指したい。

「トップナイフ」では椎名さんと同じシーンがなかったので、死ぬまでにはワンシーンでもいいから絡みの芝居を演じることが目標です。

 大きなことを言っちゃいますと、野田秀樹さんの「野田地図(NODA・MAP)」を青春時代にすごく見ていたので、死ぬまでに起用していただける時が来ればいいなと思います。それと、できれば俳優の賞も欲しい。もちろんお笑いも大好きなので、お笑いの賞と両方とれたら最高ですね。 

(聞き手=松野大介)

▽本名=大橋彰 1974年、埼玉県生まれ。コンビを経て2010年からピン芸人・アキラ100%として活動。17年に「R―1ぐらんぷり」で優勝。昨年、地上波ドラマ初出演。初の主演映画「達人 THE MASTER」が夏に公開予定。 

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

  2. 2
    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  2. 7
    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

  3. 8
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  4. 9
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  5. 10
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?