【追悼】崔洋一監督 井筒和幸氏が明かす“戦友”秘話「骨のある映画屋がいなくなったことは悔しい限り」

公開日: 更新日:

 27日にぼうこうがんのため亡くなった映画監督の崔洋一さん(享年73)。崔さんとは互いに20代の頃から親交があり、切磋琢磨し「戦友」と語る井筒和幸監督(69)が日刊ゲンダイに、とっておきの秘話を明かしてくれた。

  ◇  ◇  ◇

 崔洋一さんとは彼の助監督時代からの仲だ。高橋伴明さんに紹介された時からだろうか。撮影所で「愛のコリーダ」の撮影をしていた崔さんが「いやもう生々しくて大変だった」と語っていたのを覚えている。フランス映画なので邦画の規制ナシ、秘密裏にスタジオ撮影は行われ、ポルノ女優でもない女優に演技をさせる。その後の「わいせつ裁判」は皆が知るところだが、大島渚組のチーフ助監督として、過酷な条件の中で崔さんも突っ走っていた。

■「ガキ帝国」は朝鮮語の字幕、「マークスの山」では死体役にキャスティング

 初めて仕事を依頼したのは我が「ガキ帝国」(1981年)だった。朝鮮語の字幕を担当してもらった。朝鮮語がわかる人も知らなかったし、予算もなかったが、あの不良性感度の邦訳をつけられるのは崔さん以外にいなかった。その後、今度は中井貴一主演の「マークスの山」(95年)で、冒頭の死体役にキャスティングしてくれた。当時はディレクターズカンパニーが解散し、何でもかんでも仕事をせざるを得ない状況で、映画製作どころではなかった。崔さんの「映画をイチからやりなよ」という無言のメッセージには勇気づけられ、おかげで「岸和田少年愚連隊」(96年)が出来上がった。戦友・崔さんのエールのおかげだ。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    本来は「9月左翼構想」だが…大谷が打てば打つほど手術明けの外野守備は前倒しの気配

    本来は「9月左翼構想」だが…大谷が打てば打つほど手術明けの外野守備は前倒しの気配

  2. 2
    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

  3. 3
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    別居情報を払拭?福山雅治の妻・吹石一恵の幸せ自粛ライフ

    別居情報を払拭?福山雅治の妻・吹石一恵の幸せ自粛ライフ

  1. 6
    堀江しのぶがスキルス性胃がんと判明 余命2か月の宣告に…

    堀江しのぶがスキルス性胃がんと判明 余命2か月の宣告に…

  2. 7
    原田美枝子「女優生活50年」で紫綬褒章の感慨…夫・石橋凌の“隠し子騒動”乗り越えて

    原田美枝子「女優生活50年」で紫綬褒章の感慨…夫・石橋凌の“隠し子騒動”乗り越えて

  3. 8
    政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた

    政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた

  4. 9
    大谷「DH独占」打ちまくり、週間MVPも…他の野手を休ませられないロバーツ監督のジレンマ

    大谷「DH独占」打ちまくり、週間MVPも…他の野手を休ませられないロバーツ監督のジレンマ

  5. 10
    あえてGWに「裏金不起訴」で大炎上!萩生田光一氏と世耕弘成氏を待つ“市民感覚”の鉄槌

    あえてGWに「裏金不起訴」で大炎上!萩生田光一氏と世耕弘成氏を待つ“市民感覚”の鉄槌