親父は「〇〇ちゃん」と呼ばれる芸名がいいと考え、「こぶ平」に

公開日: 更新日:

 正蔵は中学2年の時に、古今亭志ん朝の落語に魅せられ、独演会に出かけた。

「トリで演じたのが、『花見の仇討』でした。素晴らしかったです。それで父(先代三平)に、志ん朝師匠に弟子入りしたいと言ったら、困った顔をしました。『志ん朝さんは優しい人だから、おまえに厳しくしないだろう』って。それなら自分の弟子にして、厳しく育てようと思ったんでしょう。弟子入りが許されたその日のうちに、子供部屋から弟子の部屋に移されました」

 1978年、15歳の年である。息子から弟子に立場が変わった。

「弟子の芸名を付ける際、親父は『〇〇ちゃん』と呼ばれる名前がいいと考えてました。こん平師匠の『こんちゃん』みたいに。それで付いたのがこぶ平。こぶは味が出る。『こぶちゃん』と呼ばれて親しみやすい、ということですね」

 高校に入学したが、寄席で前座修業をしながらなので、出席率は悪かったという。

「学校も落語家ということで大目に見てくれたんですね。寄席の楽屋に入ったばかりの頃、談志師匠と初めてお会いしました。『根岸(三平)の倅か?』と聞かれたので、『はい』と答えると、こうおっしゃいました。『あのな。倅が父親の跡を継ぐことは、自分の生き方の肯定である』と。当時の僕は、意味がわからなかった(笑)。後年、自分の倅(たま平)が落語家になった時、初めてわかりました。自分の生き方を倅に肯定されたんだって」

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    本来は「9月左翼構想」だが…大谷が打てば打つほど手術明けの外野守備は前倒しの気配

    本来は「9月左翼構想」だが…大谷が打てば打つほど手術明けの外野守備は前倒しの気配

  2. 2
    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

    真美子夫人も共同オーナーに? 大谷「25億円別荘購入」の次は女子プロバスケチーム買収か

  3. 3
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    別居情報を払拭?福山雅治の妻・吹石一恵の幸せ自粛ライフ

    別居情報を払拭?福山雅治の妻・吹石一恵の幸せ自粛ライフ

  1. 6
    堀江しのぶがスキルス性胃がんと判明 余命2か月の宣告に…

    堀江しのぶがスキルス性胃がんと判明 余命2か月の宣告に…

  2. 7
    原田美枝子「女優生活50年」で紫綬褒章の感慨…夫・石橋凌の“隠し子騒動”乗り越えて

    原田美枝子「女優生活50年」で紫綬褒章の感慨…夫・石橋凌の“隠し子騒動”乗り越えて

  3. 8
    政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた

    政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた

  4. 9
    大谷「DH独占」打ちまくり、週間MVPも…他の野手を休ませられないロバーツ監督のジレンマ

    大谷「DH独占」打ちまくり、週間MVPも…他の野手を休ませられないロバーツ監督のジレンマ

  5. 10
    あえてGWに「裏金不起訴」で大炎上!萩生田光一氏と世耕弘成氏を待つ“市民感覚”の鉄槌

    あえてGWに「裏金不起訴」で大炎上!萩生田光一氏と世耕弘成氏を待つ“市民感覚”の鉄槌