15歳シニア猫の肩に骨肉腫の疑い セカンドオピニオンで否定した根拠

公開日: 更新日:

 一方、飼い主さんは「4、5年前に2階から落下して大ケガをしましたが、幸い自然に治ったんですよ」ともおっしゃいました。それで、ひとつの仮説が浮かんだのです。そのときに骨にヒビなどが入り、骨折が修復される過程で骨になる細胞が集まり、患部が増殖したのではないかと。

 仮説を後押しする材料がほかにもありました。関節表面の軟骨の形成を促進する薬を使用しているようでした。それが事実なら、患部の骨の増殖が起こるかもしれないという考えです。

 こうしたことに加え、15歳というシニアの年齢も併せて総合的に判断した結果、次のようにお伝えしました。

「いますぐには断脚せずに、普通の生活を続けながら1カ月ごとに受診するのもよいと思います。それで関節の痛みや頭痛など、より骨肉腫を強く疑わせる症状が見られたら、治療するという考え方です」

 断脚した後は当然、3本脚での生活になります。シニアでその負担は重い。できることなら、余生を痛みなく、普通に生活させてあげたいと思いましたし、総合判断した結果は「その可能性は十分ある」ということでの結論です。

 このケースでは、全身麻酔を伴う先進的な治療を避けることになりましたが、もちろん、ケースによっては、そういう治療を行うこともあります。

(カーター動物病院・片岡重明院長)

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

  2. 2
    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  2. 7
    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

  3. 8
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  4. 9
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  5. 10
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?