和田秀樹
著者のコラム一覧
和田秀樹精神科医

1960年6月、大阪府出身。85年に東京大学医学部を卒業。精神科医。東大病院精神神経科助手、米カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書多数。「80歳の壁」(幻冬舎、税込み990円)は現在、50万部のベストセラーに。最新刊「70歳の正解」(同)も好評発売中。

減塩の重要性ばかり喧伝されるけど…最も死亡率が低い「塩分摂取量」は1日10~15グラム

公開日: 更新日:

 読者の方の中には、高血圧で治療を受けている方がいると思います。そんな人が必ずといっていいほど受ける生活改善の指導が減塩です。

「塩分は血圧を上げて、動脈硬化を進めるから、なるべく塩分は控えてください」

 このような言葉で主治医は減塩を勧めるでしょう。確かに塩分が多過ぎると、血圧が上昇し、脳出血の可能性が高まって、死亡率が上がるという研究もないわけではありません。しかし、その逆の結果が出ている豪州の研究もあります。塩分の取り過ぎが死亡率を上げるかどうかについては、一概に決めるのが難しいのは事実です。

 私の経験的な結論は逆です。高齢者の場合、塩分を控えていると、低ナトリウム血症を起こしやすく、かえって健康寿命を短くするリスクが高まると思います。

 ナトリウムは重要な栄養素で、体内には一定量が保たれるようにできています。その役割を担うのが腎臓で、塩分の摂取量によって、塩分の排出量をコントロール。これが、腎臓に備わるナトリウムの貯蓄能です。

 若くて腎臓がきちんと機能していると、ナトリウム貯蓄能は適正で、ナトリウム濃度は一定にキープ。しかし、加齢や病気などによって腎機能が衰えてくると、ナトリウム貯蓄能も低下し、本来キープされるべきナトリウムも尿から排出されることがあります。そのため高齢者は、低ナトリウム血症を起こしやすいのです。その症状は、意識がぼんやりする意識障害、吐き気、倦怠感、疲労感、頭痛、筋肉のけいれんなど。高齢者にとって、低ナトリウム血症は、意識障害を起こしやすいリスクのひとつで、侮ってはいけません。

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