首位Jフロントの百貨店売上は6割 近づく不動産業への転換
■パルコ社長の牧山氏が専務昇格の人事の意味
この人事を前出の松坂屋出身のベテラン社員が次のように解説する。
「これまでは山本さんの一頭体制でしたが、好本社長と専務2人のトロイカ体制が組まれることになります。大丸出身で好本さんとともに心斎橋店本館の建て替えに奔走した澤田さんの昇格は順当といえる。ポイントはパルコ出身の牧山さんの重用でしょう。松坂屋の扱いとはえらい違いです」
ファッションビルを運営するパルコがJフロントの傘下に入ったのは、まだ奥田務氏が社長だった2012年。ゴタゴタの末のJフロント入りだった。
もともと、パルコの筆頭株主は不動産大手の森トラスト。そこに割り込んできたのが流通大手のイオンだった。パルコ株を買い進め、子会社化を目指したのだ。当初、森トラストはイオンに同調する動きを見せていた。
「イオンが親会社になることに猛反発したのがパルコの経営陣。まったくカラーが違うというわけです。それでイオンは買収をあっさりあきらめてしまった。それを知ったJフロントが『ではうちが』と言い出し、パルコ側も同意。森トラストは自身が持つパルコ株約33%をすべてJフロントに譲渡したのです」(森トラスト関係者)