大リーグ機構の規制緩和で加速する「球団売買」のウラ側
これまで、大リーグは投資ファンドが複数の球団の株式を保有することを禁止してきた。異なる球団の株式を持つことで利益相反を招くことを未然に防ぐためだ。
だが、今年、大リーグ機構は方針を変更し、投資ファンドが複数の球団の少数株主となることを解禁した。投資ファンドが複数の球団の経営権を握ることは問題だが、株式の過半数を支配せず、少数株主であるなら重大な利益相反は起きない、という理屈だ。
このような方針転換は、球団の所有者の意向を反映したものだ。なぜなら球団の資産価値の上昇は実際の売却額の高騰をもたらすものの、買い手が付かなければ、どれほど所有者が球団を売りたいと思っても経営権を手放せないからだ。資金調達能力のある投資ファンドが複数の球団の株主となれれば、より円滑な球団の売買が実現する可能性が高まる。
実際、大リーグ機構の規制緩和に応じる形でニューヨークに本拠を置くガラティオート・スポーツ・パートナーズ(GSP)は5億ドルの投資ファンド「GSPベースボール・ファンド」をつくり、1口100万ドルの出資者を100人募集している。今年11月に実業家のジョン・シャーマンが率いる投資家グループがロイヤルズを買収し、12月には著名なヘッジファンド投資家のスティーブ・コーエンがメッツ株の80%を獲得すべく筆頭オーナーであるフレッド・ウィルポンと交渉していることが明らかになった。
今回の機構による制度の変更により、ますます球団が「魅力ある商品」となり、持ち主の交代が加速することだろう。