巽樹理さんの二足のわらじ シンクロ銀から33歳で大学院へ

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新たなキャリアへ向けた“種まき”

 家庭との二足のわらじで歩んだ大学院生活の道のりは新たなキャリアへ向けた“種まき”の期間となった。

「子供を保育園に預けてまで大学院に通っているので、学ぶ本気度は他の学生より高かったと思います(笑い)。各教授たちに頼んで学部生の授業にも参加させてもらいました。受講後は“もし自分が授業をするならば”と帰りの電車内で将来に向けた講義資料を作成しつつ、子供の保育園まで向かう。他にも多くのイベントに参加したり、いろいろな人に会って人脈をつくったりもしました。非常にハードな2年間でしたが、今の仕事に大いに役立っています」

 大学院進学と同時期に、出身校のスイミングスクールが開いている中高齢者向けのシンクロ教室で指導者が不在だったことから、ボランティア感覚で数回コーチを引き受けた。年齢にとらわれることなくスポーツを楽しむ人たちへの指導は、想像していたよりも面白く感じたという。

 それから7年。巽氏は高齢者のアーティスティックスイミング(旧シンクロナイズドスイミング)のヘッドコーチを務めながら、中高齢者の水中運動や生涯スポーツなどを研究課題としている。

「講師経験も経て、19年から准教授にさせていただきました。私は五輪を目指すようなアスリートの指導ではなく、普通の学生とスポーツを結び付けることに魅力を感じて取り組んでいます。まだまだ教員として未熟なところがあるので、しばらくはこのまま頑張っていきたい。これからも『研究』『教育』『社会貢献』を活動の3本柱としてやっていくつもりです」

 大阪の母はパワフルだ。

▽たつみ・じゅり 1979年9月5日生まれ、大阪市福島区出身。2000年シドニー五輪、04年アテネ五輪で2大会連続の銀メダル獲得。現在は母校・追手門学院大社会学部社会学科の准教授となり、高齢者への指導も行っている。

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