岡邦行
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岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

金メダル以外は敗北…打倒ソ連のために敵将も丸裸にした

公開日: 更新日:

 ともあれ、「打倒・ソ連!」を掲げた山田は、徹底して監督ギビ・アフヴレジアーニを研究する。メキシコでのギビは練習を一切公開せず、故意に主力選手の負傷説を流し、日本を油断させていたからだ。山田は言った。

「当時のソ連チームは国家に支えられて資金も豊富。それに勝つには相手を丸裸にすること。ギビが試合でどういう作戦をとり、どう選手を動かすかを徹底して調べた。サーブの方向、サーブレシーブ後のパスの方向、スパイクのコース、フェイントの落下点などをね。観客席に選手たちを座らせ、試合中のソ連のボールの動きをすべてノートに線で描かせたわけだ」

 それだけではない。日本にソ連チームが遠征してきた際は、放映するテレビ局に頼み、ソ連のベンチ近くに集音マイクを設置。監督ギビが選手にどんなアドバイスを出しているかを録音した。

「ギビはすげえことを言ってたな。『この試合に負けたらメシ抜きだ。収容所送りだ!』なんてね。まあ、一種のスパイ活動なんだが、強国であれば誰もがやっていた。私の記事が雑誌に出ると、1週間後には翻訳され、各国の監督は読んでいたね」

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