岡邦行
著者のコラム一覧
岡邦行ルポライター

1949年、福島県南相馬市生まれ。ルポライター。第3回報知ドキュメント大賞受賞。著書に「伊勢湾台風―水害前線の村」など。3・11後は出身地・南相馬中心に原発禍の実態を取材し続けている。近著に「南相馬少年野球団」「大島鎌吉の東京オリンピック」

自殺した名ハードラー 依田郁子さんが試合前に行った儀式

公開日: 更新日:

1964年東京五輪・陸上女子80メートルハードル 依田郁子さん(上)

〈依田(旧姓)郁子さん自殺 東京五輪で大活躍 ヒザ関節の痛み続き〉

 64年東京オリンピックから19年。こんな見出しで全国紙が5段抜き、写真入りで報じたのは、1983年10月15日だった。前日の14日夕方、茨城県つくば市の自宅8畳間の鴨居にネクタイを巻き付け、首つり自殺を図ったのだ。享年45。

■スタート前に逆立ち、バック転

 依田郁子は80メートルハードルを専門とした、稀有なオリンピアンだった。顔や首、肩にサロメチール軟膏を塗り、逆立ちをしてバック転。さらにレモンを丸かじりする。スタート前の彼女流の儀式、ルーティンではあったが、観客は呆気に取られながらも「依田劇場」と呼んで喜んだ。

 そんな依田が、世界にその名を馳せたのは、東京オリンピック開催1年前の63年10月。34カ国が参加した国立競技場でのプレオリンピック(東京国際スポーツ大会)のときだった。80メートルハードル予選で、その年の最高記録10秒6をマーク。決勝でも世界の強豪選手を寄せ付けず、難なく優勝を決めたのだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

  2. 2
    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

    香川照之「團子が後継者」を阻む猿之助“復帰計画” 主導権争いに故・藤間紫さん長男が登場のワケ

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

    巨人・菅野智之の忸怩たる思いは晴れぬまま…復活した先にある「2年後の野望」 

  5. 5
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  1. 6
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  2. 7
    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

    「つばさの党」ガサ入れでフル装備出動も…弱々しく見えた機動隊員の実情

  3. 8
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  4. 9
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  5. 10
    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?

    悠仁さまが10年以上かけた秀作「トンボの論文」で東大入試に挑むのがナゼ不公平と言われるのか?