ドラ1伊藤智仁は「投球美人」名言を生む“非野球人”の発想

公開日: 更新日:

「ひまわりと月見草」に代表される、野村監督の表現力は秀逸である。

 なぜ、野球人が、こんな名言を繰り出せるのか。原点は、優れた観察力にあったと思う。それを言葉で表現する能力があったからで、ことは野球に限らない。

「投球美人、やな」

 1993年、ドラフト1位で入団した伊藤智仁を、ブルペンで一見して野村監督、こう表現した。

■「救世主、東方より来る、やな」

 伊藤の投球フォームは華麗と評判があった。腕が長く、テークバックが大きくとられて、腕がムチのようにしなる。ストレートは伸び、スライダーは切れが鋭い。投球フォームは「美しい」「華麗」と評価されたが、それを「美人」と表現する「非野球人」の発想が監督にはあった。

「救世主、東方より来る、やな」と、舞台ぜりふのような言い方をしたこともあった。95年の6月、広島市民球場でルーキーの稲葉篤紀が初打席初ホームランを打ち連敗を止めた。稲葉はこの日、二軍から一軍昇格、ひとりで広島入りしたばかり。プロ初出場で、チームに貢献。監督、破顔で喜びを表現した。「マー君、神の子、不思議な子」のオリジンである。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大阪万博批判は出尽くした感があるが…即刻中止すべき決定版が出た

    大阪万博批判は出尽くした感があるが…即刻中止すべき決定版が出た

  2. 2
    「銀河英雄伝説」大ヒットの田中芳樹さんは71歳 執筆47年で120~130冊…どのくらい稼いだの?

    「銀河英雄伝説」大ヒットの田中芳樹さんは71歳 執筆47年で120~130冊…どのくらい稼いだの?

  3. 3
    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

    女優・吉沢京子「初体験は中村勘三郎さん」…週刊現代で告白

  4. 4
    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

    木村拓哉「Believe」にさらなる逆風 粗品の“あいさつ無視”暴露に続き一般人からの告発投稿

  5. 5
    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚会員限定記事

  1. 6
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  2. 7
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8
    つばさの党代表が公選法違反で逮捕 温和だった黒川敦彦容疑者はなぜ“キャラ変”したのか

    つばさの党代表が公選法違反で逮捕 温和だった黒川敦彦容疑者はなぜ“キャラ変”したのか

  4. 9
    頑なに「高卒で米挑戦」…まともに会話すらなかった大谷が翻意、日本ハムに入団決めた舞台裏

    頑なに「高卒で米挑戦」…まともに会話すらなかった大谷が翻意、日本ハムに入団決めた舞台裏

  5. 10
    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル

    「悠仁さまに一人暮らしはさせられない」京大進学が消滅しかけた裏に皇宮警察のスキャンダル