「ノン・サラブレッド」島田明宏著
197X年、府中の松崎厩舎に3歳の牡馬・ホーリーシャークが北海道から到着した。シャークには、明治時代に13戦で10勝した名馬ミラの血が流れているという。オーストラリアから輸入されたミラには血統書がなく、その子孫は純粋なサラブレッドとは異なるサラ系に分類される。
飼育担当を命じられた厩務員の晴男は、気性が荒く、体つきも貧相なシャークと対面して一抹の不安を抱く。
半世紀後、スポーツ紙で競馬面を担当する記者の小林に匿名の電話が入る。北海道の西ノ宮牧場の主が借金のかたに預けた血統書の中にミラのものがあったというのだ。詳細が分からぬまま北海道に飛んだ小林は、西ノ宮牧場の関係者が一家心中したことを知る。
名馬の血統書をめぐる競馬史ミステリー。
(集英社 740円+税)